「もっと伝わる文章が書けたらいいのに」
「人を惹きつける文章を書いてバズらせたい」ネットが普及してだれでも発信できる時代になり、こうした文章スキルを求める人が増えた。書く力があれば、日常的な文章コミュニケーションが円滑になるうえに、SNSで個の力を伸ばすこともできる。デジタル化が進みネットが栄えるほど、書くスキルの重要性はますます高まっていくだろう。書くスキルを伸ばす助けとなるのがライティング教本だ。本記事では、ライティング本を読み漁ったライター目線で、タイプ別におすすめの1冊を紹介する。その本の特徴や見どころも解説するので、ライティング本を選ぶ際の参考にしてほしい。目次「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』       難易度★☆☆☆ (初心者〜中級者向け)ページ数224ページ 価格1,650円(本体1,500円+10%税)発売日2021年1月8日著者藤吉 豊、小川 真理子 著出版社日経BPAmazonで見る効率的に文章のレベルを上げたい人に文章術の名著100冊分の重要スキルを凝縮した1冊。数冊の本に書かれている「共通のノウハウ」を、より多く紹介されたランキング順で解説するため、文章術を“重要な順”で身につけられるのが特徴だ。ランキング形式でライティングのポイントがまとめられているため、初心者向けの基礎知識から上級者向けの専門知識まで体系的に学べる1〜7位のルールで「基礎的な文章力」を身につけ、8〜20位のルールでスキルアップして「文章がうまい人」を目指し、21〜40位のルールで「プロ級の書く力」が鍛えられる。スキルアップを目指す8〜20位のルールには、実践的ながら意外性があるテクニックが並ぶ。「いつでもメモを取れるようにしておく」「これだ!と思う本は繰り返し読む」「主語と述語はなるべく近づける」「紙の辞書とオンライン辞書を使い分ける」など、ライターでも見落としがちなポイントが多く紹介されている。段落の変え方など、つい自分ルールで終わらせがちな部分も具体的なルール解説があり、文章全体の見直しができる20位までのルールで文章力をしっかり鍛えられるが、21〜40位のルールは人によって取捨選択する余地があり、自分らしい文章をうまく書くヒントも眠っている。平坦になりがちな文章に個性を持たせ、ワンランク上の文章を書きたい人の助けになるはずだ。文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック『文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック』       難易度★☆☆☆☆ (初心者向け)ページ数206ページ 価格1,430円(本体1,300円+10%税)発売日2009年7月24日著者阿部 紘久 著出版社日本実業出版社Amazonで見る文章を書くのが苦手なビジネスパーソンに「うまく文章が書けない」「文章が長く分かりにくいと言われる」といったビジネスパーソンにおすすめなのが、「明快な文章を書くための77のヒント」を紹介する本書だ。文章を短く書く方法、正しい表現で書く方法などを細かく解説しているため、基礎から余すことなく学べる。企画書やビジネスレターなど、目的別に豊富な文例を紹介していて、汎用性が高いのも特徴だ。「主役は早く登場させる」「いきなり核心に入る」など分かりやすく簡潔に書くポイントも押さえていて、あらゆるシーンに通用するビジネス文を習得できる。修正点がある原文と改善した文章を比較できるので、学んだあとの実践にも活かしやすい最後の7章では、表記とレイアウトにも触れている。「」やスペース(空白)の効果的な使い方など、視覚的なインパクトの与え方を解説しているため、メールや報告書のみならずパワーポイントなどのプレゼン資料にも活かせるだろう。深く考えずに多用しがちな「」『』()の使い方について、複数の例文を用いて適切な使い方を解説している基礎に特化して解説している本書は、文章が苦手な部下への指導書としても有用である。沈黙のWebライティング -Webマーケッター ボーンの激闘- アップデート・エディション『沈黙のWebライティング -Webマーケッター ボーンの激闘- アップデート・エディション』       難易度★★★★☆ (中級者〜上級者向け)ページ数640ページ 価格2,310円(本体2,100円+10%税)発売日2022年4月22日著者松尾 茂起 著、上野 高史 イラスト出版社エムディエヌコーポレーションAmazonで見る検索に強いネット記事を作りたい人にネット記事を書くにあたり、検索エンジンに評価されるコンテンツにして上位表示するSEO対策は必須。SEOライティングができるライターは、企業からも重宝される。本書はSEOライティングの人気シリーズで、Webマーケッター「ボーン・片桐」が活躍するストーリーと合わせてSEOに強いライティングのノウハウを分かりやすく解説する。イラストと吹き出しで構成され、まるでゲームをプレイしているような感覚で読み進められる気軽さがありながらも、情報量が多く実用性が高いのが人気の理由だ。イラストを多用し、ストーリーとともに展開するため、登場人物に共感しながら同じ目線でSEO学習を進められるSEOライティングには、入念な分析に基づくキーワード選定が欠かせない。一般的な教本だと目を通すだけで骨が折れる分析方法も、読者と同じ目線を持つ登場人物のセリフとイラストを交えてサクサクと読み進められる。ほかのライティング教本で書かれているような基本的な「書き方」に留まらず、Google広告のキーワードプランナーで関連ワードを確認する方法や、Googleの検索結果で上位10位に入るページを分析する方法などもレクチャーしているのが本書の強みだ。
 専門的でとっつきにくい情報も、キャラクターの画像と吹き出しを多用した会話テキストによって、読むハードルを下げているGoogle検索できちんとヒットする人気記事を生み出すコツを学ぶことで、より多くの人に読まれるネット記事を書けるようになる。改訂版(アップデート・エディション)では、SEOの重要キーワードである「4つの検索意図」「E-A-T」「YMYL」に関する解説を追加しているので、同シリーズの前作を読んだ人にもおすすめだ。ちょっとしたことで差がつく 最後まで読みたくなる 最強の文章術『ちょっとしたことで差がつく 最後まで読みたくなる 最強の文章術』       難易度★★☆☆☆ (初心者〜中級者向け)ページ数232ページ 価格1,595円(本体1,450円+10%税)発売日2022年2月28日著者尾藤克之 著出版社ソシムAmazonで見る「心を掴む文章」「最後まで読まれる文章」を書きたい人にインターネット上には文章があふれていて、読まれる努力をしないと読んでもらえない。どうすれば最後まで飽きずに読まれるのか、多くの人に注目される文章が書けるのかを知った書き手が重宝される。本書は、Yahoo!ニュースで総合1位を連発する著者が、実例を紐解いて「読んでもらうためのノウハウ」を赤裸々に解説する。Yahoo!ニュースでクリックされる記事は「気になるワードをタイトルの頭に持ってくる」などバズる文章の特徴が盛り込まれていて、さらに「Why(なぜ)と思わせる文章」にして最後まで読ませる仕掛けを作っていることが分かる。実際にバズった文章を取り上げ、どこがバズるポイントなのかを詳しく解説しているまた、読まれる文章のヒントとして、人気政治家のテクニックを挙げているのもおもしろい。選挙に強い小池百合子都知事の特徴として紹介されているのが「批判をユーモアに変え、緊張を笑いに変える」共感術だ。大衆の心を掴む有名政治家のスピーチから、ふだんの文章に活かせるテクニックを紹介「膨れ上がるオリンピック予算。1兆、2兆、3兆って、豆腐じゃないんですから!」倒置法も活用し文章に強弱をつけることで、大衆の心を掴んでいる。本書でバズるテクニックから政治家の人心掌握術まで吸収し、人を惹きつける文章づくりに活かしてはいかがだろうか。超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい『超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい』       難易度★★★☆☆ (中級者向け)ページ数309ページ 価格1,760円(本体1,600円+10%税)発売日2021年6月11日著者東香名子 著出版社プレジデント社Amazonで見るSNSで「バズる文章」を書きたい人にSNS時代になり、バズる文章を書ける人間は大きな影響力を持つようになった。しかし分かりやすく読みやすい文章を書くだけではバズらないため、プロライターでも苦戦する人が多い。ありがたいことに、本書では10,491本の記事を研究して解明した「バズるフォーマット」を紹介している。その通りに書くだけでSNSの「いいね」を増やすことができるため、インターネット上で文章を公開している書き手必読の1冊だと言えよう。バズる記事には定番テーマがあり、よくある「季節の話題」や「まとめ情報」に加えて「格安」「お得」「話題の商品」「オタクネタ」「よく聞かれること」などが並ぶ。こうしたテーマを押さえつつ、バズる記事フォーマットに合わせて文章を書けば注目されやすくなるのだ。目的に合わせてバズるフォーマットを選択し、フォーマットに沿ったライティングをすることで効率的に文章作成できるフォーマットは用途(報告、提案、商品紹介、集客など)によって適したフォーマットが異なり、使いやすい7つのフォーマットが紹介されている。4章で解説している「バズる書き方のルール」では、バズる導入文のパターンを紹介している。定番は冒頭で読者に「〜していますか?」などと問いかけるパターンだ。惰性で書きがちな導入文は、読者が読むか読まないかの分岐点。鉄板となる3パターンのポイントや使い方が解説されている本書を読めば、1文目から興味関心を惹きつけ、バズる文章にするテクニックが学べるだろう。セールスコピー大全:見て、読んで、買ってもらえるコトバの作り方『セールスコピー大全:見て、読んで、買ってもらえるコトバの作り方』       難易度★★★★☆(中級者〜上級者向け)ページ数384ページ 価格1,980円(本体1,800円+10%税)発売日2021年1月7日著者大橋 一慶 著出版社ぱる出版Amazonで見る売れるセールスコピーを書きたい人にコロナ禍になりオンライン化が加速し、「非対面・非接触」でのコミュニケーションが激増した。ビジネスにおいて「非対面・非接触で売る」コピーライティング力は、強い武器になる。本書は、買ってもらうための文章術であるセールスコピー専門家である著者が「バカ売れさせる文章スキル」をまとめた本であり、広告文を書く際の参考書になる。
 各章の末尾に「まとめ」があり、要点を把握しながらサクサク学習できる「きちんとした文章を書くこと」にとらわれて「書く目的」を見失う書き手は多い。本書では「何を書けば購入(目的)してもらえるか」の答えとして、読み手が求めるうれしい未来・手に入れたい結果(ベネフィット)を挙げている。そのうえで、文章術として「商品を売る言葉の作り方」を解説している。商品のメリット(特長)を「ということはつまり?」で深掘りしてベネフィット(読み手が手に入れたい結果)にし、さらに「ということはつまり?」で分かりやすくしてコピーへ落とし込むのだ。どうやって広告コピーを考えるか、具体例を複数挙げながら、手順を追って解説この手順でコピーライティングすると、ダイエット中の人へ向けたおでんのセールスコピーは「おなかいっぱい食べても罪悪感ゼロ」になる。このように、本書で紹介されているテクニックを実践することで「商品の強みをキャッチーに伝える」だけに留まりがちなセールスコピーを、届けたい人(ターゲット)に響く最適なセールスコピーへとブラッシュアップし、売上アップが期待できる。広告ライティングに悩んでいる人におすすめだ。ポチらせる文章術『ポチらせる文章術』       難易度★★★☆☆ (中級者向け)ページ数224ページ 価格1,540円(本体1,400円+10%税)発売日2019年10月31日著者大橋一慶  著出版社 ぱる出版Amazonで見る短時間でネット広告を書きたい人に「90分くらいでスラスラ読めて、しかもガチで役立つコピーの本」がコンセプトの本書は、マンガと会話で構成されていて短時間でサクッと読めるため、急ぎで広告コピーを作りたい人に打ってつけの本だ。読みやすい会話調で、広告コピーの作成ステップを簡潔に説明商品が欲しいであろう人に着実にアプローチして「新しいお客さんを生む」3ステップや、高額な商品や専門的な商品など「売りにくい商品を売る」3ステップなどの枠組みを解説したうえで、ネットユーザーに効く「たった数行で読み手の心を掴む技術」について解説している。ネットユーザーは即決せず検討した後に購入する傾向があるため、ネット広告のコピーはブラウザを閉じて3時間経っても覚えていることが重要だ。そこで活用するのが、売れるキャッチコピーを作る10のテクニック。「未完成の情報を伝えて読み手の興味を高める」「強い興味を持っていることへ禁止命令を出す」などが紹介されている。
 テクニックを活用していないコピーと活用したコピーの比較があり、違いが分かりやすいすぐに使えるキャッチコピー厳選テンプレートもまとめられているので、高い文章力がない人でも優秀な広告コピーを作れるはずだ。短時間で訴求力のある文章を書きたい人に最適な1冊である。10倍速く書ける 超スピード文章術『10倍速く書ける 超スピード文章術』       難易度★★★★★ (上級者向け)ページ数256ページ 価格1,650円(本体1,500円+10%税)発売日2017年8月24日著者上阪 徹 著出版社ダイヤモンド社Amazonで見るもっと速く「中身のある文章」を書きたい人に時間をかけて何度も推敲すれば文章のレベルは多少上がるものの、仕事となると効率も求められるため、スピードアップが欠かせない。本書は3,000人超に取材してきた爆速ブックライターである著者が、とにかく「早く書き終える」ためのスキルと考え方を解説していて、迷わず筆を進めるヒントが詰まっている。書く文章の種類ごとに異なる目的を解説していて、分かりやすい文章を早く書くための考え方を根本から学べる中身がある文章にする「素材」の集め方、素材を読みやすく並べる組み立て方、一気に書き上げるテクニック、読みやすく分かりやすい文章のポイントなどを一通り説明しているが、最もページを割かれているのが素材集めである。素材集めを間違えると、無駄に時間がかかるうえに質も下がる。どれだけ綺麗な文章を並べても中身がなくつまらない原稿になってしまうのだ。著者は、書く前に「独自の事実」「エピソード」「数字」という3つの素材を集められれば「400字の文章も約10分で書ける」と述べている。その具体例として挙げられているのが、新聞の記事だ。新聞記事は9割以上が素材(事実)でできていて、ポイントを押さえた素材を用意できれば新聞レベルの文章を作れる。
 必要な情報だけが分かりやすく凝縮された新聞記事からは、素材の重要性が伝わってくるこうした原稿の土台となる素材についてしっかりと解説したうえで、組み立てや整え方までレクチャーしているので、だれでもすぐに実践できる。「それなりに文章は書けるが、どうも時間がかかる」という人はぜひ一読を。
 noteではじめる 新しいアウトプットの教室 楽しく続けるクリエイター生活『noteではじめる 新しいアウトプットの教室 楽しく続けるクリエイター生活 改訂版 (できるビジネス) 』       難易度★☆☆☆☆ (初心者向け)ページ数240ページ 価格1,760円(本体1,600円+10%税)発売日2021年4月23日著者コグレマサト、まつゆう 著出版社インプレスAmazonで見る文章を発信してファンを作りたい人に書く意欲はあっても「何を書いたらいいか分からない」と挫折する人は少なくない。個人ブログ、企業コラム、SNSなどを立ち上げる人は多いものの、大半の人は書き続けられず更新をやめてしまう。本書は、会員数260万人(2020年5月時点)を突破したコンテンツ投稿サービスであり、多くのクリエイターが活用しているnoteの使い方を解説しながら、「書き方」のみならず「伝え方」と「続け方」のノウハウまで紹介しているのが特徴だ。記事の見せ方、書き続ける表現の仕方を学べる。書き始める前にテーマとルールを考える際、「書くこと・書きたいこと」に加えて「書かないこと」も決めておく。「書くこと・書きたいこと」を明確にしておけば「なんとなく始めてなんとなくやめてしまう」という王道の挫折パターンを回避できる。楽しく書き続けるための心構えを解説している本はとても珍しく、すぐ挫折してしまう人におすすめさらに、自分や読者が嫌な気持ちになるだろうことを「書かないこと」にすれば、心地よくアウトプットを続けられ、無理せず継続しやすい環境を作れる。ほかにも「noteで書くことが思いつかない日はツイートする」など、無理せず情報発信を続けるヒントが多数掲載されている。発信者ならではのマイルールの作り方があり、知っていると書く習慣をつける助けになる本書のポイントを押さえて「文章によるアウトプット」を習慣化することで、継続してオリジナリティある文章を発信できるようになり、文章でファンを作っていける。文章で表現したい人やブランディングをしたい人、影響力を持ちたい人におすすめの1冊だ。
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