高価格帯でも激売れ! トヨタ「アルファード」はなぜ人気? 高級志向増えた? 幅広く支持される理由とは

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高級ミニバン「アルファード」が人気の理由は

 トヨタの高級ミニバン「アルファード」は、日本の新車市場を代表するミニバンであるとともに、新車販売台数ランキングでも上位に位置するなど高い人気を誇ります。
 
 しかし、ほかの販売台数上位車よりも高価格帯にも関わらず、堅調な販売台数を誇る理由とはどのようなものなのでしょうか。

なぜ高価格帯のトヨタ「アルファード」は支持されるのか?

 3代目となる現行モデルは2015年に登場しました。

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 全体的に高級志向がさらに強められており、フロントマスクにはメッキ加飾の大型フロントグリルがあしらわれているほか、内装も杢目が強調された上質なデザインが採用されています。

 また、リアにはダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用したことで、制振性や走行安定性がさらに向上しています。

 そんなアルファードの価格は、エントリーモデルの359万7000円から775万2000円と、国産車としては決して安価な価格帯ではありません。

 しかしながら、なぜ数ある新車のなかで販売台数上位に位置することが出来るのでしょうか。

 実際にユーザーが評価する部分について、首都圏のトヨタ販売店の担当者は以下のように話します。

アルファードが人気である理由のひとつには、なんといっても快適な室内空間にあります。

 ミニバンというボディタイプを活かした広大な室内空間は、2列目はもちろん、3列目も余裕を持って乗車することができます。

 また、高級感のある内外装はフォーマルな場面でも活用できるため、法人のお客さまからのお問い合わせも多い、まさに万能の1台といえます。

 人気のグレードは、個人のお客さまでは装備と価格のバランスが良い『S“C パッケージ” 』、法人のお客さまでは最上級グレードの『Executive Lounge』です。

 どちらもハイブリッド車のほうが人気が高い印象ですが、納期やコストパフォーマンスの関係からガソリン車も一定の人気があります」

 また関西圏のトヨタ販売店の担当者は次のように話します。

「いまのアルファード人気は、やはり『アルファードブランド』が確立されたことが大きいです。

 かつて『いつかはクラウン』というキャッチコピーがあったように、最近では『アルファードに乗りたい』と考えていらっしゃるお客さまが多い印象です。

 実際にクラウンからアルファード、ノアからアルファードというように乗り換える人もおります」

 さらに中部圏のトヨタ販売店の担当者は次のように説明しています。

「新車を購入されるお客さまの傾向として、一概にはいえないものの『せっかく買うなら良いものを』という考えの人はいらっしゃいます。

 そのため、同じクルマでも装備の良い仕様(高いグレード)が人気になる傾向となり、その最たる例が高級志向のアルファードが支持される人気なのではないかと思います」

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 現在、アルファードの直接の競合となるモデルはほとんど存在していません。

 長年ライバル関係であった日産「エルグランド」も販売台数ではアルファードを大きく下回っており、ホンダ「オデッセイ」も生産終了となっていることなどから、アルファード一強の状態となっています。

なぜアルファードには約400万円もの価格差が存在するの?

 そんなアルファードですが、価格帯は359万7000円から775万2000円と、グレードによって415万5000円の価格差があります。

 国産車では、ひとつのモデルでこれほどの価格差がある例はめずらしく、アルファードの特徴のひとつとなっています。

 400万円という金額は、乗用車1台分、軽自動車であればおよそ2台分に相当するほどですが、この価格差はどこから生まれているのでしょうか。

 前出の首都圏の担当者は以下のように話します。

「価格差が生まれる要因のひとつは、パワートレインにあります。

 アルファードでは、2.5リッターガソリン車、3.5リッターガソリン車、そして2.5リッターハイブリッド車という3つのパワートレインが用意されていますが、それぞれ50万円程度の価格差があります。

 それ以外では、2列目シートの仕様が価格に大きく影響します。

 たとえば、比較的安価なグレードでは、2列目は一般的なベンチシートが採用されていますが、最上級グレードの『Executive Lounge』では、プレミアムナッパレザーを使用したキャプテンシートとなっています。

 このキャプテンシートは『まるでファーストクラスのようだ』と高い評価をいただいており、アルファード最大の特徴といっても過言ではありません。

 キャプテンシートを備えた『Executive Lounge』では、大型アームレストやAC100Vのコンセント、読書灯などが備わるだけでなく、内外装のしつらえもさらに上質なものとなります。

 加えて、先進安全運転支援システムや最新のナビゲーションシステムなどが標準装備となる点が、そのほかのグレードとの価格差を生んでいるといえるかと思います。

 また、トヨタのモデルの多くは、レンタカーなどに利用することを目的とした、装備を制限したグレードが設定されています。こうした点も、価格差が大きくなる要因のひとつかと考えられます」

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アルファード Executive Lounge」のまるでファーストクラスのような2列目キャプテンシート

 このように、アルファードはファミリーカーとしても、ショーファーカーとしても使えるように、同一モデルでありながら性格の異なるさまざまなグレードが用意されており、その結果が400万円以上という価格差に表れているといえそうです。

 一方、アルファードは2022年11月17日現在、新規の受注を停止しています。前出の担当者によると「現在の納期状況では次期型の登場と重なってしまうことが理由」といい、近い将来にフルモデルチェンジが予定されていることがうかがえます。

 長らく高級ミニバンのリードしてきたアルファードが、フルモデルチェンジによってどのようなモデルとなるのかに注目が集まります。