「軽自動車に軽油は入れないでください」 同じ「軽」で入れ間違い続出!? 異例の注意喚起あるも「なぜ誤認する」名称なのか
軽自動車に軽油を入れてしまう間違いが度々問題になるが…なにがいけないのか
ガソリンスタンドでは、クルマに入れる燃料として「軽油」「レギュラー」「ハイオク」の3種類が販売されています。
そうしたなかで、近年は自分で給油するセルフ式ガソリンスタンドが普及したことで、同じ「軽」の名称が付いている軽油を軽自動車に入れてしまうというトラブルが発生しています。
ガソリンスタンドには、スタッフが誘導や給油してくれるフルサービス式と自分で給油するセルフ式があります。
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また給油の入れ間違い防止のひとつとして、軽油は緑、レギュラーは赤、ハイオクは黄と色が分けられていますが、基本的にレギュラーを入れる軽自動車に軽油を入れてしまう人も少なくないようです。
クルマのエンジンでは「ガソリンエンジン」にレギュラーかハイオク、「ディーゼルエンジン」に軽油を指定燃料としているのが一般的です。
軽自動車はガソリンエンジンのためレギュラーが指定燃料となり、万が一に軽油を給油するとエンジンを破損させる恐れがあります。
軽自動車に軽油を入れるというトラブルについて、都内のガソリンスタンドのスタッフは「軽油はディーゼル車の燃料ですが『軽』とついていることから誤って認識している人もおります。過去には年配の女性が軽自動車に軽油を入れる寸前でお声がけしたこともありました」と話しています。
実際にユーザーからは「軽自動車=軽油と思っている人結構いる」、「軽自動車に軽油を入れる人いるんだなー」、「わかっちゃいるけど、『軽』の『油』に見えるわな笑」といった声も見受けられます。
また「なぜレギュラー、ハイオク、ディーゼルという名前にしないの?」、「最初からディーゼル車用って書いてくれたら良いのにね」、「教習所で教えた方が良いと思う」というそもそもの名称や教え方に対する疑問も聞かれます。
海外のガソリンスタンドで軽油は「Diesel(ディーゼル)」と表記され、ディーゼルエンジン用だとひと目でわかるようになっています。
軽油という名前は「重油」に対し比重が軽いことが由来とされています。
そのためクルマ用の燃料として使うのであれば、海外のようにディーゼルと表記したほうが燃料の入れ間違いが少なくなる可能性もあります。
しかし軽油はクルマ以外にもさまざまな産業で活用されています。
例えば船舶や貨物列車のエンジン、ビルや発電所の発電機用燃料など、その用途は乗り物に限りません。
そうした業界では「ディーゼル」はエンジンや発電機そのものを指す場合もあり、燃料の名前を「ディーゼル」にすることで混乱を生じる可能性もあります。
このような軽油の名称について、燃料運搬業者のA氏は以下のように話します。
「軽油の歴史は古く、長年に渡りさまざまな業界で使われています。
また軽油は現在でも一般需要より商用需要のほうが多いことからも、簡単に名前を変えることは難しいといえます。
そのため、クルマの燃料の入れ間違いに関しては、スタンドでの対応とユーザー自身の意識向上をするほうが良いのかしれません」
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実際にガソリンスタンドでは「軽油はディーゼル車専用燃料です。軽自動車への給油は行わないでください。ガソリン車に給油するとエンジン故障を起こしますので十分注意してください」という注意喚起を掲示することで、軽自動車に軽油を入れ間違えるユーザーに対して呼びかけをおこなっており、そのガソリンスタンドのスタッフによれば「過去に入れ間違いをしてしまったユーザーがいたことから注意喚起をするようになりました」と説明しています。
軽自動車に「軽油」を間違って入れてしまった場合どうなるのか
軽自動車に軽油を入れるというトラブルですが、実際に燃料を入れ間違ってしまった場合はどのようなことが起こるのでしょうか。
どのくらい軽油を入れたかによって症状は異なりますが、最初はガソリンタンク内に残っているガソリンと混ざって燃焼します。
しかし徐々に軽油の比率が増え、不完全燃焼によってパワーが落ちてマフラーから黒煙が出るなどの症状が発生し、最終的にはエンジンが停止する恐れが考えられます。
燃料の入れ間違いに関して、自動車整備士のB氏は次のように話しています、
「どのくらい間違った量を入れたかによって対応方法は異なります。
少量であれば、そこまで大きなトラブルにはなりません。
しかし、ガス欠ギリギリで満タン近くまで間違った油種を入れた場合には、エンジンの各部品を外して洗浄するなどの対応が必要かもしれません」
一方、ディーゼルエンジンにレギュラーを入れた場合について、前出のA氏は次のように話します。
「レギュラーは軽油よりも潤滑性が低いことや、燃料方式の違いがあります。
これにより、最終的にはエンジンを損傷させる可能性が高くなります。
軽自動車や普通車に搭載されるガソリンエンジンは霧状になった燃料に、スパークプラグと呼ばれる電極が火花を飛ばすことで燃料を燃やしています。
しかしディーゼルエンジンは軽油を圧縮して燃焼させています。
こうした構造上の違いから、最適な燃料を入れないとエンジントラブルの元となります」
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最近では、油種の入れ間違いを防止するために、給油口付近に指定燃料が表記されていることがあります。
またディーゼル車の場合は給油蓋そのものが緑になっているなどの工夫も施されているようです。