テレワークなどもしやすい「ワークスペース」が駅などに増えてきましたが、高速道路にもあると便利かもしれません。その試行運用が関越道で行われているのですが、場所がちょっと意外でした。

高速SAのワークスペース 導かれた場所は

 テレワークやPCを用いた事務作業などに便利な「ワークスペース」が、駅などを中心に整備されてきました。飲食店でも、電源やWi-Fiを備えた店舗や座席が増えていますが、高速道路のSA・PAはどうでしょうか。
 
 SA・PAでも高速道路会社のWi-Fiはあり、フードコートなどで作業はできます。ただ困るのが電源です。また、フードコートに大勢の人がいるなかでポツンと作業するのは、意外と集中できないかもしれません。


高速道路のワークスペースが試行運用されている(画像:NEXCO東日本)。

 そうしたなか、たまたま立ち寄った関越道の高坂SA下り線で「ワークスペース」の看板を発見。パーテーションに囲まれた座席、専用電源、専用Wi-Fiもあるとのこと。ちょうど作業をしたいと思っていたので、ちょっと気分が上がりました。

 ただ、それらしき場所が見当たらず、もう一度看板を見ると、「レストランにお声がけを」とあります。しかしレストランはいたって普通の店構え。あのぉ……と店員に声をかけると、「ワークスペースですね」と店内に通されました。あたりを見渡すと、確かに、一画にパーテーションで囲まれたスペースが。

「2時間制で、最低でもドリンクバーはご注文いただいています」。そう案内されると、ハッとしました。ワークスペースの看板に「2時間280円」と書いてあったのですが、これ、ドリンクバーの料金です。この時間帯は、モーニングメニューとして提供メニューを限定していたこともあり、ドリンクバーのみを注文して席につきました。

 この高坂SA下り線は、フードコート式ではなく「軽食コーナー」と「レストラン」が分かれている基本的な運営形態のSAです。人の多い軽食スペースと比べて、平日午前10時台のレストランは閑散としていて、快適に作業ができました。なお、「パーテーションで区切った席以外でも結構ですよ」とのことでした。

 実はこの高速道路のワークスペース、いまは試行運用中で、NEXCO東日本管内では関越道の高坂SA(上下線)、上里SA(上下線)でのみ行っているそう。運営会社に詳しく話を聞きました。

ワークスペース増える? 運営会社に聞いてみた

 NEXCO東日本管内のSA・PAを管理・運営するネクセリア東日本によると、「直接的なワークスペースの設置要望はありませんが、お客さまから従業員へコンセントの有無を尋ねられるなど、サービスを求められるお声はいただいていました」とのこと。

 そこで、4つのエリアにて2022年2月末から2023年3月までの予定で試行運用を開始。ただし、駅で見られるような個室ブースを据えつけるのではなく、レストランや空きスペースを有効活用する形での展開を検討しているといいます。

 というのも、レストランの新たな利用価値を創出する、という側面もあるのだとか。

 現在は比較的大きなSA・PAを中心に、複数店舗が集まったフードコート形態も増えてきましたが、今回利用した高坂SAのように、多くは「軽食コーナー」と、ちょっと値段が高めな「レストラン」に分かれた形態が基本です。両者は営業時間も異なります。

「コロナ禍や昨今の働き方改革におけるライフスタイルが変化するなかで、レストランのアイドルタイムを中心とした空席の活用や、比較的静かな環境を提供できることから、レストランにおける新しい付加価値として展開を開始しました」(ネクセリア東日本)


高坂SA下り線のレストラン。一見してワークスペースがあると思えないかもしれない(乗りものニュース編集部撮影)。

 現在の利用状況は、多いエリアで1日1人程度、1回1〜2時間程度(1回利用につき2時間まで)とのことで、まだまだ知られていないようです。客層は30〜50代のビジネスマンが多いとか。「朝食を取りながらの利用も見られ、徐々に常連のお客さまも増えてきている」といいます。

 高速道路のワークスペースは定着するのか、ネクセリア東日本は今後の利用動向をみつつ、「世の中の状況も踏まえながら、SA・PAの新しい付加価値として、お客さまのニーズに合った形での展開」を検討するということです。