2022年12月17日、阪急全線でダイヤ改正が実施されます。列車種別の変更をはじめ、朝ラッシュ時間帯の10両編成列車の削減、平日夜間・深夜時間帯の運転本数の見直しなどを実施。今回はダイヤ改正でなくなる事象5つを紹介します。

6300系「京とれいん」が定期運行終了

 阪急全線で2022年12月17日(土)、ダイヤ改正が実施されます。新種別「準特急」の誕生がある一方、見納めとなる光景もあります。今回は「なくなる事象5つ」を紹介します。


観光列車「京とれいん」に使われる阪急6300系電車。種別「快速特急A」の消滅に伴い、今後が注目される(画像:写真AC)。

 京都線では、観光列車「京とれいん」と「京とれいん雅洛」が運行されていますが、ダイヤ改正をもって「京とれいん雅洛」のみとなり、「京とれいん」は運行を終了します。

「京とれいん」には快速特急Aとして6300系電車が、「京とれいん雅洛」には快速特急として7000系電車がそれぞれ使われています。京都線では途中駅の十三に可動式ホーム柵(ホームドア)が設置されましたが、扉の位置が大きく異なる6300系はホーム柵に対応できず、同駅を通過しています。このため、快速特急Aという種別が設定されたのでした。

 しかしダイヤ改正によって快速特急Aの設定が消滅することで6300系が京都線から退き、可動式ホーム柵の設置が進みそうです。その一方で、6300系「京とれいん」の今後が注目されます。

準特急が新設も、快速急行・快速が消滅

 今回のダイヤ改正では、新しい種別として準特急の登場が注目されています。その一方で、先述の快速特急A(京とれいん)のほか、快速急行と快速の設定がなくなります。

 快速急行は準特急に名称が変更されるほか、京都線で設定されている快速は、停車駅に西京極を追加して急行に名称が変更されるのです。

 快速急行は、神戸線では1987(昭和62)年から、京都線では1997(平成9)年から設定され、いずれも2022年10月現在では朝と夜間に運行されています。また、かつては宝塚線にも設定されており、2003(平成15)年から2006(平成18)年まで運行された短命な列車種別でした。

京都線の急行は“復活”?

 快速は京都線で2010(平成22)年から、平日のみ運行されています。このほか、1997(平成9)年から2001年まで設定されていたこともありましたが、こちらは準急に近い性格の列車で、高槻市から河原町(現在の京都河原町)までは各駅に停車していました。

 ちなみに、京都線の急行は2007(平成19)年まで運行されていたので、今回は復活する形です。こちらも停車駅は過去のものとは違いますが、2001年当時も快速に代わって設定されているので、今回も快速の名称変更という共通点があります。

宝塚線・京都線から10両編成が消滅


京都線では15年ぶりに急行が復活する形に。写真は宝塚線の急行電車(画像:写真AC)。

 神戸線・宝塚線・京都線では、平日の朝ラッシュ時間帯に10両編成の列車が運行されていますが、今回のダイヤ改正で宝塚線と京都線から10両編成の列車設定がなくなります。

 宝塚線では川西能勢口→大阪梅田間の通勤特急で、京都線では京都河原町→大阪梅田→桂のルートで快速急行が10両編成ですが、いずれも全て8両編成に短縮されます。神戸線でも、大阪梅田〜神戸三宮間で運行されている10両編成の通勤特急が今回、一部8両編成となります。

駅での連結・切り離し作業が消滅

 10両編成の列車運行が縮小される関連で、朝ラッシュ時間帯に見られた連結作業や切り離し作業が見納めとなります。

 神戸線では神戸三宮駅で連結作業が行われ、新開地駅からやってきた8両編成の通勤特急に2両を増結して10両編成としていましたが、これが取りやめとなり、ダイヤ改正後は神戸三宮駅発着の通勤特急だけが10両編成で運行されます。

 京都線では始発の京都河原町駅で平日に1回だけ連結作業があり、快速急行を8両編成から10両編成としていました。桂駅では、大阪梅田駅で折り返してきた10両編成の快速急行から2両を切り離して8両編成としていましたが、10両編成の取りやめで連結・切り離し作業がなくなります。

 ちなみに宝塚線の10両編成の列車は片道のみの運行ですが、かつては川西能勢口駅での連結や雲雀丘花屋敷駅での切り離し作業がありました。

箕面線への直通運転が消滅


箕面線から大阪梅田駅へ直通する列車は完全に消滅し、石橋阪大前⇔箕面シャトルとなる(2017年2月、草町義和撮影)。

 箕面線では、平日の朝ラッシュ時間帯に設定されている宝塚線直通の大阪梅田行きがなくなります。かつては平日の夕方に、梅田(当時)発 箕面行きの設定もありましたが、こちらは2018年7月のダイヤ改正でなくなっています。ただ今回、大阪梅田行きの設定もなくなることで、箕面線と宝塚線の直通運転が完全に消滅することとなります。

 阪急電鉄は2024年、京都線で座席指定サービスを開始すると発表しています。同社は今回のダイヤ改正理由のひとつを「そのサービス開始も見据えたもの」としています。

※一部修正しました(10月31日11時30分)。