引退を迎えたバーイード(写真は7月サセックスS出走時、提供:At the races)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・10/15 府中牝馬S(GII・東京・芝1600m)

 後方追走のイズジョーノキセキが内から馬群を縫って伸び、ゴール直前でソダシをとらえました。5歳秋にして重賞初制覇です。父エピファネイアは、エフフォーリア、デアリングタクト、サークルオブライフの父ですが、今年に入ってから重賞を一度も勝てず、昨年8位だった総合種牡馬ランキングも、今年は世代がひとつ増えたにもかかわらず10月14日時点で第12位と、成績を落としていました。

 ただ、2歳戦は絶好調なので、これから年末にかけて浮上していく可能性が高いでしょう。「エピファネイア×キングカメハメハ」は、牝馬三冠馬デアリングタクト、京王杯SC2着馬スカイグルーヴ、エリザベス女王杯3着馬クラヴェルなどを出しています。決め手のあるタイプが多いので、直線の長いコースに向きます。

◆今週の血統Tips

 10戦全勝と無敵を誇ったイギリスのバーイードが、ラストランの英チャンピオンSで4着に沈むという衝撃的なニュースが飛び込んできました。ジョッキーのクローリー騎手は馬場を敗因に挙げました。雨の影響で馬場発表以上に重いコンディションとなり、力を出し切れなかった、と。父シーザスターズは現役時代、デビュー戦で4着と敗れたものの、その後は一度も負けることはありませんでした。つまり、父と息子の戦績は、ちょうど前後をひっくり返したような形となります。

 今回のレースを最後に引退し、来春から種牡馬入りします。ラストランで敗れたとはいえ、それまでに積み重ねた10連勝が色あせるわけではありません。シーザスターズはまだこれといった有力な後継種牡馬を出していませんが、バーイードは硬い馬場を得意とし、シーザスターズ産駒らしからぬスピード能力がセールスポイントだったので、まず成功するのは間違いないでしょう。