仙台育英が東北との宮城県勢対決を制し2年ぶりV!先発全員安打&継投ピシャリ投打で勝利に貢献した仙台育英のエース・高橋煌稀

<第75回秋季東北地区高校野球大会:仙台育英6−3東北>◇16日◇決勝◇荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた

 決勝は、仙台育英と東北による宮城県勢同士の対決となった。秋季宮城県大会の決勝では東北が2対1と接戦を制し、今夏の甲子園王者に土をつけていた。

 決勝の舞台は宮城県の隣県・山形県にある荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた。「宮城2強」の再戦を一目見ようと多くの観客が訪れ、試合前から長蛇の列を作っていた。試合は両校の実力がぶつかり合う熱戦となったが、仙台育英が6対3で勝利。2年ぶりに東北の頂点に立ち、11月18日に開幕する明治神宮大会出場を決めた。

 仙台育英打線は序盤から塁上を賑わせた。2回、2死満塁の好機をつくると、3番・住石 孝雄内野手(2年)の飛球が左翼手と遊撃手の間に落ちる2点適時打となり、先制点を奪う。4回は2死から2番・山田 脩也内野手(2年)が左翼フェンス直撃の三塁打を放ち、その後4番・齋藤 陽外野手(2年)の2点適時三塁打で加点。140キロ近い直球を連発した東北先発・根岸 聖也投手(2年)から4回までに4点をもぎ取った。

 一方、仙台育英の先発は湯田 統真投手(2年)。甲子園のマウンドを経験し急成長を遂げた右腕で、今大会は準々決勝の鶴岡東(山形)戦で9回2安打、10奪三振無四球完封勝利を挙げていた。初回、三者凡退スタートを切ると、2、3回は得点圏に走者を進めながらも0に抑える。4回に代打・布川 碧外野手(1年)に2点適時打を浴びこの回で降板したが、リードを保ったまま後続につないだ。

 流れが東北に傾きかけたのは6回。仙台育英の2番手左腕・田中 優飛投手(2年)から7番・伊達 一也外野手(2年)が適時二塁打を放ち1点差に。なおも二死二塁で打席にハッブス 大起投手(2年)を迎えたところで、仙台育英はエース・高橋 煌稀投手(2年)をマウンドに送り込んだ。カウント3ボールとなるも、「とにかく目の前の打者を全力で打ち取る」との思いで投じたアウトローへの直球で投ゴロに打ち取る。さらに直後の7回には無死満塁で打席に立ち、貴重な2点適時打を左前に運んだ。

 この後、審判の判定を巡り約20分の中断があったが、高橋は集中力を切らさなかった。140キロ台の直球や90キロ台のカーブを織り交ぜる、緩急をつけた投球で東北打線を翻弄。7、8、9回を無失点に抑え、試合を締めくくった。

 仙台育英は先発全員安打をマークし、毎回走者を出すなど打線が機能。継投策もハマり、県大会の雪辱を果たすかたちとなった。これで来春のセンバツ出場は確実となったが、主将の山田は冷静だ。「自分たちはまだまだ弱く、これからもどんな壁にぶち当たるか分からない。壁に当たった時に全員で乗り越えたい」と、再び日本一を目指す上で歩まなければならない長い道のりを見据えていた。

 東北も決勝こそ敗れたが、粘り強い勝ち上がりでセンバツ出場を「当確」とした。佐藤洋監督は「この大会でかなり力をつけてくれて、仙台育英の素晴らしい投手陣相手にも臆することなく打席に立っていた」と選手たちを称えていた。互いに高め合う宮城の両雄が、今後も東北の高校野球を牽引していくこととなりそうだ。

(記事=川浪 康太郎)