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鹿児島地裁が6月22日、「大崎事件」の第4次再審請求を棄却する決定をしたことを受け、日弁連は同日、「到底是認できない」とする小林元治会長の声明を公表した。日弁連は、これまでに34件の再審事件を支援しており、大崎事件もそのひとつ。

声明は、裁判所が2年弱で5人の鑑定人の証人尋問をおこなうなど、積極的な訴訟指揮をしたことを評価。そのうえで、新旧全証拠の総合評価を適切におこなわず、「疑わしきは被告人の利益に」が再審請求審にも適用されるとした判例(白鳥・財田川決定)に違反しているなどと批判した。

同日夜、都内で開かれた記者会見には、大崎弁護団の鴨志田祐美弁護士も出席。確定判決に合理的な疑いを示せれば足りるはずなのに、「無罪立証を弁護側に課しているように見える」などと再審制度の問題点にも言及した。

日弁連は6月16日に冤罪被害者を一刻も早く救済するとして「再審法改正実現本部」を設置したばかり。大崎事件の支援を続けるとともに、制度の改正にも力を注ぐとしている。

大崎事件は、鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった事件。殺人罪などで懲役10年が確定して服役した原口アヤ子さん(95)は一貫して無実を訴えており、裁判のやり直しを求めている。

今回の第4次請求で弁護側は、男性は殺されたのではなく、事故死だったとして、救命救急医の鑑定などを新証拠として提出したが、裁判所は無罪を言い渡すべき明らかな証拠には当たらないとした。