撮影/松山勇樹

写真拡大

脳外科の看護師として働きながらTikTokのフォロワーは90万人。5歳から始めた空手では世界一になったことも。アクション女優、タレントとしても活躍する“四刀流”長野じゅりあが、今度はプロレスラーとしてリングデビューを果たした。「自分に妥協することが許せない」と言い放つド根性の持ち主だけに、その突貫ファイトは壮絶そのもの。なぜ彼女はプロレスデビューに至ったのか。その波乱に満ちたこれまでの半生を振り返りつつ、今後の目標を熱く語ってもらった。(前中後編の後編)

【写真】プロレスコスチュームで見事なハイキックを見せる長野じゅりあ、ほか撮り下ろしカット【13点】

【前編はこちらから】TikTokでも話題、長野じゅりあのキュートすぎる空手バカ一代記

【中編はこちらから】空手家から看護師、女優へ…長野じゅりあが語るひとつに絞らない生き方

──芸能事務所に所属して女優復帰したのが23歳のとき。そこからはドラマ出演に加えて、バラエティやグラビアでも活躍しています。



長野 もともとグラビアには興味があったんです。芸能界に復帰するタイミングでグラビアを見てみたら、すごく綺麗だなと感じたんですよね。私の場合は空手をやっていたから、パンチとかキックを取り入れることで美しい写真が撮れるんじゃないかなと思ったんです。だから去年「グラビアなんてどう?」とお話をいただいたときは、二つ返事で「やります!」と伝えました。

──初めての水着も抵抗はなかったですか?



長野 全然なかったですね。撮影はめっちゃ楽しかったです。現場で「綺麗だね」「可愛いね」とか言ってもらえるのもうれしかったし、出来上がった写真を見ても「加工もしていないのにプロのカメラマンはやっぱり違うな」と感動しました。美しいなあって見とれちゃって、まるで自分じゃないみたいに感じたくらいです(笑)。

──TikTokやYouTubeでも積極的に発信していますよね。TikTokのフォロワー数が90万人ということに驚かされました。



長野 自己プロデュース的なことは好きなほうだと思います。TikTokも最初は再生回数がまるで伸びなかったんですよ。だけど自分の個性が“空手”と“看護師”にあるということを見つめ直してシフトチェンジした瞬間、一気にバズったんですよね。「そうか。自分が求められているのは、この枠なんだな」と改めて気づかされました。私はとりたてて可愛いわけでもないし、スタイル抜群でもないけど、流行りのダンスに空手をミックスさせたりすることで「面白い!」って言われるようになったんですね。今は海外からの反響も大きくなっているので、自分でも手応えを感じています。

──看護師として安定した立場にいる。女優業も並行して行っている。グラビアやSNSでも成功を収めている。となると、わざわざプロレスを始める必要もないのでは?



長野 実際によく言われるんですよ、「結局、何がしたいの?」って。でも自分から言わせると「私がやりたいことをやることで、何が不満なんですか?」って話になるんです。「なんで一本に絞らなくちゃいけないんですか?」って。別に看護師で手を抜いているわけでもないし、求められるからバラエティやグラビアにも出たわけで。

──話を伺っていると幅広いジャンルで活動されていることに加え、すべてに手を抜いていないことが伝わってきます。



長野 プロレスを始めたときも、「また別のことに手を伸ばして……」という声もあったとは思うんです。でも試合を観てもらえれば、自分が中途半端な気持ちで取り組んでいるわけではないということは伝わるはずですから。やっぱりやるからにはガチでやりたいんですよ。全力を出し切りたいんです。

──東京女子プロレスのリングは、SKE48の荒井優希選手やアップアップガールズ(プロレス)などアイドル系レスラーの活躍も目立ちます。長野選手も華麗なビジュアルから注目が集まることが多いのでは?



長野 う〜ん、でもリングに上がっているときの荒井選手は鬼の形相で闘っていますし、技も気迫がこもっていますからね。完全にプロレスラーだし、アイドルとして見ることはできないですよ。それくらいギャップがすごいということなんですけど。でもそれは自分も同じようなもので、試合している写真を見るとグラビアの私と同一人物とは思えないんですよね(笑)。必死さが滲み出ている感じで。

──プロレスって下手したら生死に関わるような大ケガもしますし、ある意味、格闘技以上に危険な要素もありますからね。



長野 いや、本当に真剣勝負ですよ。死ぬ気でやらないと大変なことになりますから。山下選手とシングルで闘ったとき、私は記憶を飛ばしているんですね。不意打ちみたいな格好で蹴りを喰らい、そこからは自分が何をしたのかも覚えていない。気づいたら「あれ? 天井が見えるな」って大の字になって寝ていて……。こんなの空手時代にも経験していないし、プロレスの凄味を痛感しました。

──東京女子プロレスのリングには今後も継続的に参戦する予定ですか?



長野 自分としては、そのつもりでいます。そもそも私が最終的に何をしたいかというと、世界で活躍できるようなアクション女優を目指しているんですよ。そのためには立ち技の打撃だけではなく、寝技も含めていろんな技術を学ぶ必要があると考えて、それでプロレスを始めたんですね。数試合やっただけの現段階だと「グラップリングや組み技も習得できました」なんてとても言えないので、まだまだ先は長いなと覚悟しているところで。

──長野選手の中では全部が繋がっているというわけですか。



長野 自分では「配合変化」と呼んでいるんです。昔は「空手さえやっていればアクションはOK」と考えていたけど、実際は他の動きを取り入れることで幅が広がっていくんですよね。前に『機界戦隊ゼンカイジャー』(テレビ朝日系)に出演させていただいたとき、私はボクサーの役だったんですよ。ボクシングと空手って似ているように見えるかもだけど、実際は動きがまったく違うんですね。

──なるほど。となると、現場でも戸惑ったのでは?



長野 だからスタッフさんからも「空手経験者なのにボクシングで申し訳ないね」とか言われたんですけど、実は私、キックボクシングもこっそり習っていたんです。だからカメラが回ると「えっ? なんでそんな本格的なパンチが出せるの?」とかスタントマンにも驚かれちゃって。「キックを経験していてよかったな」と、そのときにしみじみと感じたんですよ。やっぱり今まで全力でやったことで無駄な経験ってないと思うし、全部が繋がっているんですよね。これからもどんどんいろんなことにガチで挑んでいきたいと思います!

▽PROFILE
ながの・じゅりあ◎1996年2月10日、島根県生まれ。T159cm、B80・W60・H86。趣味:筋トレ、旅行。最近、ハマっていること:洋服の毛玉取り。最近の悩み:身体を絞りたいけど、シュークリームやドーナツがやめられないんです。好きな男性のタイプ:強そうな格闘家タイプに守られたいという気持ちもあるけど、どういうわけか「僕を守って〜」みたいな弱々しい男性に好かれる傾向があります(笑)。でも今は恋愛よりも自分の夢を実現させることに熱中しているので、胸キュン要素は韓国ドラマだけで十分かな。

5歳より空手を始め、2006年の「第5回糸東流空手世界選手権大会 形の部 9歳〜10歳 女子3級以上」にて優勝を飾り世界王者に。2011年には『サルベージ・マイス』で女優デビュー。看護師として病院に勤務しつつ、グラビアやバラエティなどでもマルチに活躍を続ける。2022年3月、東京女子プロレスの両国国技館大会でリングデビュー。TikTokやYouTubeでも絶大な人気を誇る。