※この記事は2019年04月06日にBLOGOSで公開されたものです

2019年のゴールデンウィーク(GW)は4月27日から5月6日。史上最大の10連休がやってくる。連休まで1ヶ月を切った今からでも国内外の旅行の予約は間に合うのか、どの日程でどう予約するのが賢い連休の使い方なのか。株式会社エイチ・アイ・エスの広報室・宇佐美加奈さんに聞いた。【田野幸伸・フジタアヤコ】

2019年GW旅行のトリセツ

◆海外旅行は4月出発より、5月出発のほうが安い。
◆出発40日前を切ったキャンセル席を狙え。
◆アジア圏への旅行は、予算5万円で行けるプランもあり。
◆人気の沖縄へは、成田発着のLCCで。
◆日帰りバスツアーなら、家族4人で行っても5万円以下。いつもはドライバー役の人も、運転を気にせず飲んで食べてゆっくり楽しめる。
◆希望する海外旅行の予約が取れなかったらGWに行くのは諦めて、お盆か年末年始の安いプランを今から早期予約。クルーズ旅行を考えている人も同様に、半年先の旅の予約を。

今年のGWの旅行予約「今ならまだ間に合う」

旅行の繁忙期は1年に3回、年末年始、GW、夏休みだ。例年、GWの予約の動きは年末年始の旅行が終わってから始まるものだが、今年はそれより3ヶ月ほど早く予約が埋まり始めたという。

というのも、昨年10月頃から「もしかして2019年GWは10連休になるのでは」と察した人がいち早く動き始めたのだ。年末年始が終わった頃にはGWの安い航空券の多くは予約で埋まってしまったという。そこで旅行会社は、人気の旅先へのチャーター便を用意して座席を確保することになった。

早く予約するに越したことはないが、実はそれ以外にも予約にオススメの時期がある。それが「キャンセルチャージ発生日直前」だ。海外旅行は通常30日前から、繁忙期は40日前からキャンセルチャージがかかるツアーが多いのだが、「本当は4月27日出発がいいけれど今空席があるのは28日出発しかないのでとりあえず予約しておく、でも27日のキャンセルが出たらそちらに振り替えたい」というように、優先順位をつけて予約する消費者が一定数いる。そういった「とりあえず」でおさえていた座席が、キャンセルチャージの発生日前に一気に放出されるため、それまで埋まっていた座席に空席が出るのである。

そういったキャンセル分などを含め、旅行会社のサイトには毎日最新情報がアップされる。旅行を考えているなら、サイトをこまめにチェックして、空いた瞬間に予約するのがオススメだ。他社が売り切れなかった座席が回ってくることもあるので、予約タイミングとしては「4月の今でもまだ間に合う」ということだ。

海外旅行の値段は例年なみ「5月出発が狙い目」

今年のGW海外旅行の予約者数を見てみると、例年人気の「ホノルル」「台北」「グアム」が上位を占めており、これは昨年とほとんど変わらない。というのも、この3都市への便はそもそもの座席供給数が多いからだ。

ただ今年は10連休ということで、予約の伸び率がアップした行き先は「ケアンズ」「ニューヨーク」「ロサンゼルス」など中・長距離の旅先だ。いつもはアジア圏に出かけている人も、思い切って遠くまで出かける傾向にある。特にケアンズは、小さな子どもが一緒でも楽しめる場所ということで家族連れに人気が高い。

また、10連休は出発日にも変化を見せており、例年は4月出発と5月出発が同じくらいの割合だが、今年は前半に偏っているとのこと。長めの日程で海外に行く人が増えたのと、連休前半は海外に行き、後半はゆっくり自宅で休むという傾向が高いようだ。

では、今から予約するならどの日程がいいのだろうか。10連休を満喫しようと4月出発で予約する人が多いため、5月に入ってから出発するものは一気に値段が下がるというのだ。少し短めの日程にはなるが、出発日が4月末と5月頭では10万円ほど差が出るプランもある。予約するなら、5月出発が断然お得だと言えるだろう。

ちなみに、今年の統計では一人あたりの旅行代金の平均が少し高くなっているが、これは10連休でヨーロッパ・北米など長距離の旅先に行く人が増えて単価が上がったため。それぞれの旅行代金は例年と同等~少しプラスくらいのハイシーズンの値段だ。全体的に高いとはいえ、アジア圏なら5万円以内のツアーもある。

国内人気1位の沖縄へは「成田からLCCで」

では、国内旅行はどうだろうか。「うりずん」と呼ばれる梅雨入り前の一番いい時期である沖縄は例年不動の人気を誇るが、今年はさらに人気が上昇。石垣島、宮古島などの離島人気も高まっている。さらに今年3月には宮古島に「みやこ下地島空港」がオープン、LCCのジェットスターが就航してより行きやすくなった。

最近の沖縄は海外からも注目され、ホテルは空いていても飛行機の座席がとれない状態で、羽田出発の便は満席。しかし、成田空港からLCCを使うプランにはまだ空きがある(取材時)。ただし、いずれも旅行代金は海外旅行並み。いっそのこと、旅先を沖縄ではなくグアムなど海外に変更するのもアリだ。

SNSの普及で旅先にも変化が

国内旅行人気2位の北海道の場合、これまで道内での行き先は札幌一強、シニアや日程に余裕がある人が北海道周遊、網走や阿寒湖などに足を伸ばす程度だった。しかし、InstagramなどSNSの普及で変化が起こっており、若者層が積極的にいろいろな土地に行くことが増えたという。今は美瑛や十勝など、北海道ならではの景色が見られる道央エリアが人気だ。

北海道に限らず、SNSは旅行者の動きを大きく変えた。これまでは旅行会社や観光局が発信した情報の中から旅先を選ぶことが多かったが、今では自分の好きなインスタグラマーと同じ場所を訪れたいという人が増えている。こういったInstagramがもたらした旅先の変化は2015年頃から現れはじめ、H.I.S.にも「Instagramで見た場所に行きたいけど、どうやって行ったらいいか」という問い合わせも多くなったという。

多くのインスタグラマーは旅慣れているので、旅行会社ではなくOTA(Online Travel Agent/インターネットでのみ商品を取り扱う旅行手配会社)を使って自分で旅行を組み上げていくのだが、フォローしている人は旅慣れていない場合も多く、インターネットでどう調べていいかもわからない。そういう人には、旅行会社は大きな助けになる。

H.I.S.は、2012年からInstagram公式アカウント(@his_japan)を開設していたが、2016年に旅する女子のためのアカウントとしてタビジョ (@tabi_jyo)Iを新たに開設。#タビジョで投稿されたユーザーの投稿を紹介するだけでなく、彼らがInstagramで発信する今旬の旅先を組み込んだツアーも発売している。インスタグラマーが行く場所は、自力では行きづらい場所にあることが多い。ツアーにはそんなスポットが組み込まれているため、旅慣れない人も安心していろんな場所に行けると好評だ。

「若者の海外旅行離れ」と言われるが、日本における若者の人口が減っているため、数字上そう見えるだけで、実際は海外旅行に行く割合は増えている。スマートフォンやSNSの普及で人々の旅行の動きが変わり、そこにLCCなども参入して選択肢が広がった。さらに、外国人観光客が掘り起こした国内観光地が注目されるなど、これまでとは違う場所が魅力的な旅先として知られる機会も増えている。若者の目は、こうした国内外の多くの場所に向いているのだ。H.I.S.は、そういった若者に海外へ行ってさらに視野を広げてほしいと考えている。この「若者の旅行を支援したい」という思いは、H.I.S.創立当初からの理念なのだそうだ。

近郊バスツアーなら、家族4人で5万円以内

どこへ行くにも値段が高いハイシーズンのGWだが、4人家族が5万円以内で楽しめるツアーもある。それが、日帰りバスツアーだ。地元のグルメやイチゴ狩り、花の名所めぐりなど季節の見どころに加え、各地でGWに合わせたイベントが開催されているので、普段よりお楽しみ要素が多くなる。

また、自分で運転するわけではないので渋滞でも疲れないし旅先でお酒を楽しむこともできる。いつもは車を運転する係の人も、GWをゆっくりと満喫できるだろう。関東地方の場合、通常の出発地である新宿、東京、横浜に加え、GWは特別にさいたま新都心や南越谷、町田、本厚木など各地からも設定があり、より利用しやすくなっている。

クルーズ旅行は超人気、早めの予約がオススメ

GWの予約はもう間に合わないが、注目を集めているのがクルーズ旅行。ベッドで寝て起きたら次の街に着いており、荷物の移動もなければ食事も24時間食べ放題。常にキャンセル待ちが出る人気プランだ。

かつては予定びっしりのせかせかしたスケジュールの旅行が多かったが、近年はクルーズのようにゆっくりと時間を過ごす旅も人気が高まっている。もしクルーズ旅行を考えるなら、さらに早めの予約が必要だろう。

安く海外に行きたいなら、思い切って夏休みや年末年始の予約を

年々、旅行の予約タイミングは早くなってきている。その要因のひとつが、訪日外国人の増加だ。当たり前のことだが、日本人が海外に行く便で外国人は帰り、我々が日本に帰る便で彼らはやってくる。つまり、同じ便を日本からの旅行客と訪日外国人で争奪しており、日本旅行ブームの今、座席は常に混雑している。航空会社も「海外に行く日本人」より「海外から日本に来る人」のほうが多いとわかっているので、海外に向けてより多くの座席を販売しているそうだ。

こうした海外の航空券事情を知っている人は、すでに2019年の年末年始の予約を始めている。今年の年末年始は9連休、今ならまだ安い席が手に入るという。それに、ツアーならいくら早く予約してもキャンセルチャージは40日前からしか発生しないので、それまでまずは予約しておけばいい。

2019年4月からは企業の有給休暇5日取得義務化も始まり、旅行への需要も高まることが予想されている。賢く制度を利用して、お得で楽しい旅を満喫してほしい。