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元プロ野球選手の清原和博さん(54)が、2月23日、沖縄県那覇市内の交差点で、交通事故にあった男性の救助にあたったとして、話題になっている。

報道によると、清原さんは沖縄県読谷村の中日2軍キャンプに向かう途中、交通事故にあって倒れている60代とみられる男性がいることを確認した。即座に知人の運転する車から下車し、男性をかついで安全を確保後、救急車が到着するまで見届けた。

さらに、交通事故の影響で大渋滞となった交差点で、交通整理をおこなったほか、男性が乗っていたバイクの破片をどかすなどした。事故当時は雨が降っていたという。

今回の清原さんの行動に対して、ネットでは「素晴らしい行動」「心優しきスーパースター」など称賛の声があがっているが、交通事故を見かけた場合、目撃者にはどんな義務があるのか。西村裕一弁護士に聞いた。

●交通事故に関わった場合、救護義務があるが…

目撃者には、通報したり、怪我人を救助したりする義務はあるのか。

「救護義務については、道路交通法72条に規定されています。

具体的には、『交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において『運転者等』という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない』とあります。

救護義務の対象になっているのは、あくまで交通事故に関わった車両等の運転者と乗務員です。

今回の清原さんのように、事故の当事者でなく目撃しただけの場合には、法律では救護義務までは課されていません。ですので、単なる目撃者がその場を立ち去っても、法的には問題はありません。

また、同様に警察の捜査に協力する義務もなく、あくまで目撃者の方の判断で捜査に協力するかどうかを決めることになります」

清原さんの行為について、どう捉えているか。

「先ほど説明した通り、法律的には目撃者に救護義務はありません。道義的には交通事故を目撃した以上、けが人を助け、現場の整理をすることは『人として当然だ』という考え方もあるかもしれません。

しかしながら、実際に目撃者の方がみんな、今回の清原さんのように行動できるかというと決してそうではありません。私もよく交通事故に関するご相談を受けていますが、目撃者の方が助けてくれた、目撃者の方が捜査に協力してくれるというケースばかりというわけではありません。

清原さんが過去、薬物に手を出してしまったことは事実で、今でもその件の話題になっていることもありますが、今回の行動は評価されるべきことでしょう」

【取材協力弁護士】
西村 裕一(にしむら・ゆういち)弁護士
福岡県内2カ所(福岡市博多区、北九州市小倉北区)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の北九州オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。
事務所名:弁護士法人デイライト法律事務所北九州オフィス
事務所URL:https://koutsujiko.daylight-kitakyushu.jp/