関連画像

写真拡大

子どもの窮状を助けてあげたい。そんな親心を巧みに利用する子どもがいます。弁護士ドットコムに相談を寄せた人の場合、27歳の息子は「家賃が払えない」などという理由で、親からお金をせびり取ろうとし、支払いに応じない親に慰謝料まで要求したというのです。

相談者によれば「数年前にも息子から暴行、脅迫を伴う形でお金を要求されていた」といいます。その時は息子に距離を置いて今後関わらないことを条件に希望の金額を支払ったそうです。

息子は最近になって、また相談者の元を訪れ「家賃が払えない」「借金をしている」と言ってお金を要求してくるようになりました。相談者の自宅前で待ち伏せされた時、暴行を加えられた記憶がフラッシュバックして「仕事だから後にして」と逃げたそうです。

「後にして=後で支払う」と都合よく解釈した息子は「支払うと自分で言ったんだから300万支払わないと、慰謝料で2000万以上支払うことになるぞ」と言ってきました。

息子が犯人かの証拠はありませんが、その後、自宅の窓を割られて、相談者は精神的に追い詰められています。息子に対してどのように対処すべきでしょうか。早川雅子弁護士に聞きました。

●「住民票閲覧制限をかけての転居を」

ーー刑事責任を問えないのでしょうか

暴行脅迫で金銭を得ていますので、恐喝罪となりますが、親族であることから刑事責任は問えません。しかし民事での請求は可能です。強迫による意思表示を取消し、交付した金銭の返還を請求していくことになります。

ーー今後、相談者ができることはありますか

度重なる無心、母親への暴力、会わないと約束しても近づいてくるとのことです。このようなケースでは、一度でも支払うと、相手は味を占めてしまうので、断固拒否し、毅然とした態度を取るべきです。

しかし若い男性の体力に対して、高齢の女性では対抗しきれないと思います。

相談者は現在、金銭的な理由で転居できないということですが、住宅ローンを組んでいる場合、第3者へ賃貸をし、賃借している場合は、初期費用0円のアパート、公営住宅等に移るという選択肢もあります。住民票閲覧制限をかけての転居をお勧めします。

【取材協力弁護士】
早川 雅子(はやかわ・まさこ)弁護士
平成21年1月、司法過疎地の法テラス鹿屋法律事務所(鹿児島県鹿屋市)に赴任しました。DV被害者支援団体「アミーチ」の会長として、市と協力して、DV問題の啓発、独自の被害者支援活動を行っております。
事務所名:早川法律事務所
事務所URL:http://www.hayakawahouritsu.jp