人気ラーメン店とのコラボカップ麺を80種以上も展開してきた『エースコック』 | 食楽web

 1948年創業。即席麺・スープなどの製造と販売を行うメーカー『エースコック』。既存の即席麺におごらず、消費者のニーズに寄り添い、これまで容量「1.5倍」のカップ麺、「食べるスープ」、「低糖質めん」などの新ジャンルを打ち出してきたことで、多くの日本人にとって馴染み深いメーカーです。

 ご存知の通り、人気ラーメン店とのコラボカップ麺も数多く展開することでもよく知られています。聞けば、これまでに製造・販売した人気ラーメン店とのコラボカップ麺はなんと80種類以上のことです。

「あの店のラーメンをカップ麺にしたのか!」とその味の再現に驚く一方、人気ラーメン店の店主は、えてしてどこまでも味を追求する職人気質なことが多いもの。言い換えれば「クセが強い」とも思えるこういった店主たちと、どう対峙し、コラボカップ麺を実現しているのでしょうか?

 そこで今回は、『エースコック』の最新コラボカップ麺「一度は食べたい名店の味 我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」「一度は食べたい名店の味 ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」を試食レビューし、さらに『エースコック』担当者の方に話を聞きました!

カップ麺のコラボ化であっても、人気店主からのレシピ提供はいっさいナシ!

 冒頭でも触れた通り、人気のラーメン店は、普通のラーメン店よりも何歩も抜きん出ているわけで、それだけ店主のこだわりや味の追求も多そうです。そう簡単に「コラボカップ麺、やりませんか?」と声をかけても首を縦に振りそうには思えません。まず、この点について聞いてみました。

「おっしゃる通り、お店によってラーメンの特徴はもちろん、店主さまのこだわりも様々です。仮にコラボカップ麺化が前向きに進んだ場合でも、味の再現に関してレシピなどはいっさいいただけません。実際に開発担当者がお店に出向き、そのラーメンを食べて、味を記憶して開発をしていきます。ですので、店主さまが納得する味わいに仕上げていく作業は毎回とても苦労します。

 こういった作業を経て、試作品を店主さまに試食していただき、改良点があればさらに改良するなどして、OKをいただけるまで何度でも繰り返します。これらを経て、やっとOKとなったところでコラボカップ麺が商品化され、そのラーメン店の『監修』と謳えることになります」(エースコック・担当者)

 言い換えれば、相当な「味」への造詣に加え、それをカップ麺という特徴的な食材に落とし込むための知見がないと、コラボカップ麺は実現できない、ということでもありそうです。

「お店で出されているラーメンと違い、カップ麺は『お湯を入れるだけで出来上がる』仕様ですので、お店と同じ材料を使えばできるというものではありません。そのため、お店のラーメンの特徴を際立たせ、その味をしっかりとカップ麺で表現できるよう心がけています。このことで、店主さまはもちろん、そのお店の常連さんでも納得してもらえるような、実際のラーメンの雰囲気・味わいを表現した商品を製造・販売してきました」(『エースコック』担当者)

味そのものだけでなく、臨場感も再現したコラボカップ麺

最新コラボカップ麺。(左)「一度は食べたい名店の味 我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」、(右)「一度は食べたい名店の味 ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」

『エースコック』の人気ラーメン店のコラボカップ麺は多岐にわたりますが、このうち「一度は食べたい名店の味」シリーズは、首都圏の人気ラーメン店の味を再現するシリーズです。

 今年1月からは「一度は食べたい名店の味」シリーズから、新潟・長岡のご当地ラーメン生姜醤油ラーメンに背脂を加えて独自に進化させた、東京・幡ヶ谷の人気店『我武者羅』の看板メニューをカップ麺で再現した「我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」をリリース。

 さらに、この2月からは東京を代表する味噌ラーメン専門店『ど・みそ』で人気の激辛みそらーめんの味わい、雰囲気をカップ麺で再現した「ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」もリリースすることになりました。

「『我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン』では、店主さまのこだわり『背脂の臨場感』を再現するため、別添で『背脂入り液体スープ』『調味油』『後入れ背脂かやく』を入れました。また、『ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん』は数種類の味噌や背脂を加えたコク深い味噌スープに、やはり別添の激辛スパイスを加えています。まさに火を噴くような辛さの一杯に仕上がっています」(エースコック・担当者)

新作を実食レビュー! さらに今後の人気ラーメン店以外のコラボは?

「一度は食べたい名店の味 我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」のパッケージ

 というわけで、さっそく「一度は食べたい名店の味 我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」「一度は食べたい名店の味 ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」それぞれをいただいてみることにしました!

「我武者羅 背脂生姜醤油ラーメン」は、前述のコメントにもあるように後乗せの「背脂」の表現が面白い一方、生姜の風味により口当たりも良く、実にコク深いスープの味を楽しめました。もちろん、そのスープに負けない麺も美味しく、まさしく名店『我武者羅』の味に準じた風合いです。『我武者羅』にそう頻繁に食べにいけない人、まだ同店の味を知らない人でも十分楽しめる味に仕上がっていると思います。

「一度は食べたい名店の味 ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」のパッケージ

 続いて「ど・みそ 火祭り激辛みそらーめん」を試食。その名の通り、まさに火祭りの辛さ! しかし、単に辛いだけではなく、スープは複雑な味に仕上がっており、妙に後を引くような、クセになる味です。

 単に『ど・みそ』の味そのものだけでなく、こういった「クセになる感」まで再現していることで、同店のファンの方にも納得のカップ麺になっているように思いました。スープに絡みつく麺も実に美味。日々進化するカップ麺の最新形を口にした気持ちになりました。

『エースコック』の名キャラクター、「こぶた」。ストイックでありながら、ニーズに応え続けるエースコックの試みにも今後も要注目!

『エースコック』担当者の方によれば、今後も人気ラーメン店とのコラボカップ麺を展開し続ける一方、「ラーメン店だけでなく、様々なお店とのコラボもしていきたいと思っています」とのことです。

 長い歴史を持ちながら、斬新でニーズに寄り添った提案を数多く展開してきたエースコック。今後の動向にも目を離すことができないと思いました。

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

エースコック

https://www.acecook.co.jp/