小林誠司(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

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「やっぱり他の捕手とは違うね。投手の能力を引き出すのが巧い」

他球団のスコアラーがうなった。高評価が向けられたのは巨人・小林誠司だ。

小林は「玄人好みの捕手ですよ」

山口俊が2年ぶりに日本球界に復帰登板した2021年6月23日のDeNA戦(富山)。バッテリーを組んだのは、「正捕手」大城卓三ではなく、小林だった。

山口は19年に15勝4敗、防御率2.91で最多勝、最高勝率(.789)のタイトルを獲得している。この時26試合先発登板したすべての試合で小林とバッテリーを組み、全幅の信頼を置いている。

日本に復帰してファームで1試合も投げていない。「ぶっつけ本番」の山口は初回に柴田竜拓に先制アーチを被弾するなど本調子ではなかったが、女房役の小林がカーブ、フォークを効果的に織り交ぜて追加点を許さない。

6回2死満塁のピンチで大江竜聖にスイッチすると、代打のソトを空振り三振に切り抜ける。7回以降は5投手をつぎ込む継投策で逃げ切った。

「小林の配球は奇をてらうわけではないが、9回を通しての組み立てがきっちりしているので手詰まりになることがない。投手の状態が悪くても変化球で目先を変えたり、構える姿勢を変えたりうまくリードするのでなかなか集中打が出ない。目立たないけど玄人好みの捕手ですよね」

打撃に課題も...「もっと評価されるべき」

一方でレギュラー獲りの課題とされる打撃では反省点が残った。

2回1死1、3塁の好機で三ゴロ併殺打に倒れるなど2打数無安打。だが、他球団の編成は別の見方をする。

「確かに2回の好機の場面では外野フライでも1点で、あの低めの球に手を出す判断は反省点だと思う。でも7回に犠打をきっちり決めていますしね。
そもそも、小林の守備能力だったら打率2割でもスタメンで起用するべきだと思います。インサイドワークに長けているし、あの強肩が盗塁の抑止力になって失点を未然に防いでいる。
正捕手争いのライバルが打率3割、30本塁打を打っているなら別ですが、守備がそこそこで打率が2割5、6分の捕手だったら、小林の方が使う価値はあると思います。守備型の捕手はもっと評価されるべきだとは感じますね」

投手から信頼される捕手は理由がある。小林が日の目を浴びる時が再び来るか。(中町顕吾)