編集部 注)以下の記事内容は欧州市場の仕様で、日本導入仕様は導入時期も含めすべて未定です。あらかじめご了承ください。


ボディサイズはよりワイド&ローへ
「T7」と呼ばれる現行の2代目が2013年5月にデビューしてから、間もなく8年となる2021年3月18日、プジョー 308の新型が正式発表となった。308としては3代目となる新型は、今年後半からフランス・ミュールーズ工場で生産され、ヨーロッパ市場に投入される予定だ。



プジョーは、2月25日に新しいブランドロゴを発表した際、「3月18日に発表予定の新型308から、車体に新しいロゴが装着される」と明らかにしていたが、その姿がいよいよお披露目されたというわけだ。

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従来モデルと同様に、「T9」と呼ばれる新型308もEMP2(エフィシエント・モジュラー・プラットフォーム2)を採用。ボディサイズは、全長4367mm、全幅1852mm、全高1444mmと、従来モデルより114mm長く、37mm幅広く、16mm低くなっている。ホイールベースは55mm伸びて2675mmだ。

これにより、おもにリヤパッセンジャースペースが拡大。ラゲッジは通常時で412Lと、従来の420Lより若干小さいが、従来よりも20mm持ち上げられたフロアの下には28Lのストレージがあり、60:40分割のリヤシートを倒せば、最大で従来モデルを14L上まわる1323Lまで拡大する。




プジョーデザインはさらに先へ進んだ
エクステリアは、208や508、2008などで採用され、3008と5008にもフェイスリフトで盛り込まれたプジョーの最新デザインがさらに進化した形でまとめられている。大きなフロントグリルと切れ長のLEDヘッドライト、ライオンの牙をイメージさせる縦長のデイタイムランニングライトは、アグレッシブで力強い印象を作り出す事に成功している。サイドは曲面を巧みに使い、4本のタイヤがパンッと張り出した、パワフルなフォルムを実現。リヤは3本の斜めの光の線が特徴的な左右のLEDリヤコンビランプをガーニッシュで繋ぎ、キレ味のあるスポーティなイメージに仕上がっている。



フロントウインドーは、従来モデルよりも後方に移動し、より強く傾斜させる事で、ロングノーズでキャビンをコンパクトに見せている。室内空間を拡大しながら、スポーティなプロポーションを実現し、プジョーのブランドイメージを上手く表現したと言えるだろう。ちなみにCd値は0.28だ。

フロントグリルに備わる新しいエンブレムは、その内側にレーダーが収まっている。最近はカメラやレーダーなど、各種センサー類を上手く隠すことに各メーカーとも苦労しているが、プジョーの新エンブレムは、盾型でブラックアウトされている部分が多いので、センサー類の隠し場所として使いやすいデザインである。今回のブランドロゴ変更は、この点も考慮したものなのかもしれない。




内気循環で車内の空気が綺麗に?
インテリアに目を移すと、メーターパネルをインパネ最上段に配置するプジョーi-コクピットがさらに進化している。メーターパネルはGTでは3D表示だ。インパネ中央には10インチのタッチディスプレイが備わり、アリュール以上のグレードには、「バーチャルi-トグル」と呼ばれるオーディオやエアコン、ナビ、電話などにすぐにアクセス出来る、タッチセンサー式のショートカットキーを装備する。



センターディスプレイやi-トグルなどは、ドライバーのほうに傾けて配置され、ドライバーオリエンテッドなデザインとなっている。センターコンソールには、スイッチ式のシフトセレクターやドライビングモードの切替スイッチなどを配置。その前方には、スマートフォンのワイヤレス充電トレーが備わる。

インフォテインメントシステムも大幅に進化した。プジョーi-コネクト アドバンスドと呼ばれるシステムは、TomTomのコネクテッドナビゲーションが利用でき、ナビ機能や地図データをOTA(オーバー・ジ・エア、ワイヤレス通信)でアップデート出来るほか、「OKプジョー」のコマンドで、会話形式のボイスコントロールで、すべてのインフォテインメント機能にアクセス可能。さらにワイヤレスでミラーリング機能に対応し、Bluetoothで2台のスマートフォンの同時接続が可能となっている。なお最大で8人分のプロファイルをメモリーできる。

車内に取り込む空気の質を監視するAQS(エアクオリティシステム)を搭載する点も、新型308の特徴だ。空気の質はセンターディスプレイに表示され、視覚的に車内環境を確認できる。GT以上のグレードは空気浄化システムも装備し、積極的に内気循環する事で、クリーンな車内環境を実現する。




PHEVは2種類のパワーを用意ADAS(先進運転支援システム)は、ストップ&ゴー(EAT8車)とレーンキーピング機能を備えたACCを含むドライブアシスト2.0(2021年末から)を採用したほか、セミオートのレーンチェンジ(70~180km/hで作動)や、速度規制の標識を認識して、ドライバーに速度調整を促す機能、180km/h以下でカーブの曲率に応じて速度を自動調整する機能など、最新のテクノロジーが盛り込まれている。



パワーユニットは、ガソリンが1.2L 3気筒ターボのPuretechエンジンで、スペックは110馬力/205Nm、または130馬力/230Nmの2種類。ディーゼルは、1.5L直4ターボのBlueHDiエンジンで、130馬力/300Nmを発揮する。トランスミッションは、110馬力の1.2Lガソリンターボは6速MTのみだが、その他は6速MTと8速ATが用意される。なお全車2WD(前輪駆動)である。

また新型は、初のPHEVもラインアップする。PHEVは2タイプあり、150馬力/250Nmを発揮する1.6L直4ガソリンターボを搭載するモデルがHYBRID 180。180馬力/250Nmを発揮する1.6L直4ガソリンターボを積むモデルはHYBRID 225と呼ばれる。電気モーターはどちらも最高出力110馬力、最大トルク320Nmで、フロントに搭載。トランスミッションは8速ATが組み合わされ、2WD(前輪駆動)となっている。

システム合計のスペックは、HYBRID 180が180馬力/360Nm、HYBRID 225は225馬力/360Nm。リチウムイオンバッテリーの容量は12.4kWhで、電気モーターのみによるEV走行は、HYBRID 180が60km、HYBRID 225は59kmだ。充電は車載充電器(3.7kW)とウォールボックス(7.4kW)に対応。ウォールボックスを使えば、1.55時間でフル充電が可能だ。

日本市場がどうなるのかは判らないが、新型308はヨーロッパでは市場によりオンラインによる販売体制が用意される。下取りからローン契約、納車までパソコンのみならずタブレットやスマートフォンでも申し込めるようになるという。

新型308は、プレミアム・ブランドを目指して、デザインと商品力、サービスの向上を強力に推進するプジョーの本気が感じられる。従来モデルもコストパフォーマンスが高く、とても魅力的だったが、新型は群雄割拠のヨーロッパCセグメント市場に、これまで以上に大きなインパクトを与えそうだ。

<文=竹花寿実 text by Toshimi Takehana>