弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子のお悩みに答える連載です。今回の相談者は島村久美子さん(仮名・32歳・契約社員)です。

「交際して半年になる彼の相談です。10歳年上の彼とはマッチングアプリで出会いました。超大手企業という安定性と、私の父と同じ超名門大学を出ており、親近感もありました。経済や世界情勢に明るく、考え方もリベラルで、男尊女卑的な感覚もない。見た目の清潔感もあり、私の方が夢中になってしまいました。

彼は地味ではありますが、仕事に真剣に向き合っていて、とても尊敬しています。

コロナ禍をきっかけに、距離はどんどん近くなり、口約束とはいえ婚約もして、お互いの家を行き来する幸せな毎日が続いていました。

先日、彼がジムに行っている間、留守番をしていたのですが、その時、テレビ台の下で隠すように充電している2台のスマホを見つけました。

ロックがかかっていなかったので、気になって見てしまったところ、写真フォルダには、女性の写真がたくさん保存されていたのです。

明らかに盗撮と思えるような写真もあり、どこかからダウンロードしたものではないことはすぐにわかりました。数も1万枚以上……。

盗撮などの犯罪はどのくらいの罪になるものでしょうか。そして、そんなことをしている可能性があると知っても、まだ今は彼を逃したくない。またゼロから婚活するのが辛いし、彼と結婚したいという気持ちと、気持ち悪いので結婚したくないという感情で、どうしていいかわかりません。私がまずすべきことを教えてください」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

まず、盗撮という行為は、迷惑防止条例または軽犯罪法に規定されています。あなたが見つけた写真の様子から、公共の場所等で撮影されているようです。

その撮影対象が、迷惑防止条例または軽犯罪法に規定の構成要件に該当すると判断されるものであれば、迷惑防止条例違反となり、懲役刑や罰金刑が適用されることになります。

私は交際中、もしくは婚約中の関係における同様のケースは知らないのですが、夫婦間に発生した類似のケースがあります。それは、夫が盗撮行為ではないものの、類似といえるその他の犯罪行為に加担したことが主な理由で、離婚に至ったことがありました。

夫が、その行為をすること(したこと)、隠していたこと、発覚後も止めなかったこと、反省していないことなどを総合的にみて、夫婦としての信頼関係を失えば、離婚に至ることもやむなしと思われます。

さて、一方ではあなたが恋人としてどのように対処すべきかについては、まだご自分でも判断がつかないようであれば、見つけた事実を伝えて彼に説明を求めてはいかがでしょうか。

また、盗撮したものと思われる状況にあることをふまえ、今後の人生について、お互いがどのように生きていくのかを、じっくりと話し合うことが必要だと考えます。

交際相手や夫が、撮影会などのイベントできわどい写真を撮っていて、複雑な感情が芽生えたというケースも。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/