ブラジルの先住民族であるトゥピ族に伝わっている星座「オールドマン(the Old Man)」


夜空は物語で満ちています。歴史の中で培われてきた文化は、星々にその土地の神話や伝説を投影し、夜空に星座を描いてきました。人々は星座を見て、星座にまつわる物語を聞き、その物語は何世代にもわたって語り継がれてきました。


2021年1月12日付けのAstronomy Picture of the Dayでは、あまり知られていない「オールドマン(the Old Man)」と呼ばれている星座が紹介されています。この星座はブラジルの先住民族であるトゥピ族に伝わっている星座です。


冒頭の画像の星座線をはずすと以下のようになりますが、ブラジルが南半球であることに注意して見てください(北半球にある日本から見たオリオン座などが逆さまになっています)。ヒアデス星団を頭にして、オリオン座の三つ星(オリオンのベルト)を片方の足の一部に見立てています。


星座線なし:A Historic Brazilian Constellation(Credit: Rodrigo Guerra))


トゥピ族の伝承によると、もう片方の足は彼の不機嫌な妻によって切り落とされたため、現在ベテルギウスとして知られているオレンジ色の星で終わってしまっています。また、左端のプレアデス星団は、頭の羽飾りと解釈できます。この画像では、足の不自由な老人が、手前でポーズを取る人物に反映されています。


ギリシャ神話では狩人に例えられているオリオン座が、トゥピ族の伝承では老人の不自由な足として描かれています。このように、夜空の民間伝承は、文化遺産や人間の知性と想像力の普遍性を記録するなど、多くの理由から重要と言えるでしょう。


 


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Image Credit: Rodrigo Guerra
Source: APOD
文/吉田哲郎