中央新幹線での営業運転に向け、走行試験を続けている超電導リニアモーターカー。最新車両のL0系改良型試験車では、「未来の新幹線」の座席について、新しい形が見えてきました。その「包まれ感」は、寝過ごし注意かもしれません。

見えてきた? 実際のリニア中央新幹線の座席

 建設が進められているリニア中央新幹線。開業に向けて、座席のブラッシュアップも進行中です。次世代の新幹線、その座席はどうなるのでしょうか。

 2020年8月17日から山梨実験線で新たに走行試験を開始した、超電導リニアモーターカーL0系の改良型試験車では、その新しい形が見えてきました。

 以前から走行試験を行っていたL0系車両の座席は、東海道新幹線のN700系などと世界観を同じにする印象もありましたが、L0系の改良型試験車では大きく変わっています。


L0系改良型試験車7号車の車内(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 まず感じたのは、「包まれ感」です。

 大きく張り出した背もたれ上部。背もたれと連動して座面が動くリクライニング。多層構造のクッションで体圧を分散する仕組み。プライベート感のある空間を演出し、ソファのような座り心地を実現したといいます。

超電導リニアの座席は寝過ごし注意? テーブルとコンセントは

 実際に座ってみると、座席幅はN700Sより大きくなっているにもかかわらず、身体が包まれる感じで、背もたれ上部の大きな張り出しは、もたれかかって寝やすそうです。品川〜名古屋間がわずか40分の超電導リニア、寝過ごし注意かもしれません。

 また座席の背もたれは、角を丸める具合にすることで、前後座席間の空間を確保する工夫がされています。

 また既存のL0系と比較し、L0系改良型試験車の座席は、幅が+22mmの477mm、奥行が+40mmの445mm、背ずり高さ(床基準)が+140mmの1230mmと、全体的に大きくなっており、これも「包まれ感」に繋がっていそうです。


L0系改良型試験車の座席背面(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 座席のテーブルは、アームレストに軽量なものを設置。ノートパソコンを置けるぐらいの大きさがあります。また、前席の背面にドリンクホルダーとフックがあります。

 既存のL0系にはなかったコンセントは、改良型試験車にはUSBのものが全席に採用されました。利用状況を想定してといいますが、パソコンを使う場合は、通常のコンセントがあるN700Sのほうが便利そうです。テーブルも、改良型試験車のアームレスト型とN700Sの座席背面型、パソコンでの使い勝手は好みが分かれるかもしれません。