インドのヒマチャルプラデシュ州で建設中のアタル・ロータントンネル(2020年9月1日撮影)。(c)Money SHARMA / AFP

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【AFP=時事】インドは、中国との係争地があるヒマラヤ山脈(Himalayas)でトンネル建設工事の最終段階を迎えている。完成すれば中国との国境に移動するまでの時間が大幅に短縮される。

 いずれも核保有国であるインドと中国は今年6月、ヒマラヤ高地で衝突し、インド側に20人の死者、中国側に人数不明の死傷者が出た。両国は互いに相手国に原因があると非難している。

 両国は国境付近に大規模な増援部隊を送っているが、インドは前線のみならず、後方での活動も一段と強化している。

 インドのインフラ増強計画には、道路や橋のみならず、高地のヘリパッドや、軍民共用の仮設滑走路の建設も含まれている。

 一番の目玉は、ヒマチャルプラデシュ(Himachal Pradesh)州で約4億ドル(約420億円)をかけて建設中のトンネルだ。天候に関係なく軍用車の通行が可能になるため、地滑りが多く冬は雪に覆われる50キロの道のりを徒歩で移動する必要がなくなる。

 今まで標高の高い曲がりくねった道を4時間かけて移動していたが、今月下旬からは最先端技術を用いたこのトンネルによりわずか10分で済むようになる。

 インドの国境道路庁(BRO)長官はAFPに対し、「ルート上の車両故障で6〜8時間も続く渋滞が発生したことが複数回あった」とした上で、「このトンネルをはじめとするインフラ計画で軍の部隊をとりまく環境は大きく変わる」と語った。

 しかし、インドは中国の後を追っているだけだと専門家らは指摘する。

 ニューデリーのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ・ファウンデーション(Observer Research Foundation)のハルシュ・パント(Harsh Pant)氏は、「歴代の政権は20年も無駄にしてきた」と話し、「中国とそのインフラは以前よりずっと強くなっている」と指摘した。

【翻訳編集】AFPBB News

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