種目の一つが、カプコンの格闘ゲーム「ストリートファイターV」。世界各地でオンライン予選を開催した上で、五輪開幕直前の7月中旬に東京で決勝戦を開く。五輪に合わせてeスポーツを盛り上げ、ゲーム用パソコン向け中央演算処理装置(CPU)などハード面も含めた市場拡大を狙う考えだ。

 ゲーム総合誌『ファミ通』を出版するGzブレイン(東京都中央区)の統計によると、国内eスポーツ市場規模は18年時点で約48億円。内訳はスポンサー料が約7割で、放映権、チケット販売と続く。

 22年には約100億円に達するという。eスポーツはそれだけに留まらない。産学連携によるIT人材教育や地方自治体の観光振興など、これまでゲームと縁が薄かった領域を巻き込めば、さらに経済効果が高まる。

地域活性化へ文化育てる
 地域活性化につながることも注目されている。eスポーツは比較的安い設備コストで運営でき、参加者の体力差によるハンディキャップも少なく、地方自治体の注目度も高い。そうした需要をにらみ、カプコンは20年にも地方都市で企業と連携したeスポーツリーグを本格的に始める。

 ただ実際に活性化できるかどうかは未知数だ。地方都市そのものに魅力がなければ若者は流出する。富山県eスポーツ連合の堺谷陽平会長は「若者を確保しないと地元企業も成り立たない。若者の文化を育てるという視点が大事」と訴える。また、地域経済に強い影響力を持つ層は、ゲームに理解がある人ばかりではない。彼らをいかに取り込むかも大きな課題だ。

 かつて子ども時代にゲームに熱中した世代が、今や企業人として社会をけん引する。もはやゲームは単なる若者向けの遊びではなく、社会的な役割も大きくなったといえる。今後は業界の垣根を越えた連携がさらに深まるはずだ。

(取材=大阪・園尾雅之)