経団連会長の発言と併せて考えると極めて深刻な日本経済の問題が浮き彫りになります。詳細は以下から。

日立製作所の会長でもある中西宏明経団連会長が「ここ何年か最低賃金を上げ続け、限界だという声もある」との発言を先日BUZZAP!で取り上げたところ、大きな反響がありました。
この発言と併せて考えたい発言を日本商工会議所の三村明夫会頭が行っています。
三村会頭は政府の経済財政諮問会議などで最低賃金を1000円に引き上げる議論が行われている事に対し「重大な影響が中小企業にあると思います。1000円というのは大変大きな金額ですよ。ですらかそれありきで物事が進むことは我々は反対であると」と述べ、今週中にも日商から正式な反対意見を表明することを明らかにしています。

三村会頭は、最低賃金が3年間毎年3%引き上げられていることに触れ、これが中小企業の賃上げ率1.4%を大幅に上回ると指摘。最低賃金が1000円人ある事は約15%の引き上げを意味し、中小企業の経営に大きな打撃を与えるとしています。
◆時給1000円では年収200万円にも届きません
ただし、まず考えなくてはならないのは時給1000円というのは1日8時間を週5日、月に20日働いたとして192万円にしかなりません。
もちろんここから厚生年金や保険料が差し引かれるため手取りはさらに低くなり、どこから見てもワーキンブプアど真ん中の金額にしかなりません。
この発言は、中小企業125万社が加盟する日商の会頭が、日本の中小企業はワーキングプアを脱するだけの賃金を働く人に支払うことが困難であるとの見方を示したということになります。
中小企業庁が2018年4月に提出した「最近の中小企業・小規模事業者政策について」という公式資料によると、日本の全事業者382万のうち99.7%が中小企業であり、従業者で見ても約70%が中小企業に就業しています。

全企業の99.7%を占める中小企業が、働く人の70%の従業員に年収200万円すら出すのが困難という極めて深刻な日本経済の現状が浮き彫りにされてしまったことになります。
◆内部保留は過去最高を6年連続で更新する一方、労働分配率は43年ぶりの低調
財務省が9月3日発表した2017年度の法人企業統計によると、企業の蓄えた「内部留保」に相当する利益剰余金が、金融・保険業を除く全産業で前年度比9.9%増の446兆4844億円となって過去最高を更新しました。
内部留保が過去最高となるのは、第2次安倍晋三政権が発足した2012年度以降6年連続。製造業は9.1%増の153兆3205億円、非製造業は10.4%増の293兆1639億円で、ともに1割近く拡大しました。
ですが、企業の稼ぎを人件費に回した割合を示す「労働分配率」は2016年度の67.5%から2017年度は66.2%に下落。この割合はバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さとなっています。

また、大企業で2017年度に1億円以上の役員報酬を得ていたのは704人で、前年度と比べて1億円以上の役員報酬を得ている人が98人も増加していました。
大企業が内部保留を溜め込み、役員に高額報酬を支払う一方で、働く人の最低賃金を上げることに非常に慎重な姿勢が見て取れます。

BUZZAP!でも何度も繰り返しているように、働く人は消費者とイコールです。年収200万円に届かないワーキングプアが増えれば増えるほど、消費が冷え込んでいくことは火を見るよりも明らか。
ものやサービスを消費できるだけの金を持った消費者を大勢生み出すことこそが日本経済再生の鍵となるはずですが、いったい日本企業は誰を相手に商売をしようとしているのでしょうか?

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