排気ガスを吸気に混ぜて再度シリンダーに入れるのがEGR

 EGRとはエンジン・ガス・リサキュレーションの頭文字から取ったもので、日本語にすれば、排気ガス再循環という意味になる。メカに興味がある方は目にしたことがあるだろうし、新車紹介でも最近はエコ技術のひとつとして触れられていることもある。

 仕組みとしては簡単で、排気ガスを吸気に混ぜて再度シリンダーに入れるといったもの。大きくは内部EGRと外部EGRに分かれていて、前者は吸気バルブと排気バルブのオーバーラップ(両方とも開いている状態)を利用し、後者は配管によって戻している。

 エンジンに取り込む空気はフレッシュなほうがいいように思えるが、なぜそのようなことをしているのか?  詳しく説明するととても難しくなるので、概要だけ簡単に説明すると、まずポイントになるのは排気ガスには理論上、酸素は含まれていない(実際は少し含まれていることがある)ということ。

 そのため、吸気に排気ガスを混ぜると、酸素量はEGRがない場合よりも少なくなるので、燃焼温度を下げることができる。そうなると、NOx(窒素酸化物)の発生を減らすことができる。

最近は冷却水で排気ガスの温度を下げるクールドEGRが主流

 燃焼温度が低いということは、シリンダーなどから逃げる熱も減らすことができ、熱損失も抑えられる。また、負荷が小さい場合(回転数が低いなど)でも、排気ガスを混ぜてやればスロットルを開くことができ、ポンピングロスの低減にもなって、結果として燃費の向上にもつながる。

 通常はバルブが付いていて、最適な部分で排気ガスを吸気に戻しているし、最近では冷却水で排気ガスの温度を下げてやるEGRクーラーを備えることでより効果を高める、クールドEGRが主流になってきた。実際、最近の新車紹介で謳っているのはこのクールドEGRの採用や、大容量化が多い。

 覚えておくといいポイントを紹介すると、まず吸気に排気ガスを戻して混ぜていること。そうすると酸素が減って燃焼温度が下がり、有害物質が減る。そしてスロットルもより開くことができるので、ポンピングロスが減って燃費が向上するということのふたつで十分だろう。そういう装置が最近のクルマには付いていると知っているだけでも、新車紹介などを読んだ際の理解にも違いが出てくるはずだ。