もうひとつは、日本チームの精神的な強さ。これは準々決勝までの苦しい試合のなかでも随所に見られたが、この大一番で日本は前後半を通じて、イランをメンタル面でも完全に上回った。イランがビハインドになってから何も答えを見つけられなかった理由のひとつは、ここにある。日本の堅守に対して、なかなかゴールを割れずにいると、イライラが募り、最後は冷静さを失った。
 
 三つ目は守備と攻撃のバランスだ。昨秋のテストマッチでは攻撃的な面をかなり磨いた。打って変わって今大会ではまず、守備的な面がフォーカスされた。すると、準決勝というタイミングで、その両方がバランスよくつながり、ワンランク上のチームパフォーマンスが実現できた。
 
 イラン戦はすべてが上手く運び過ぎたくらいだ。決勝では相手も勝ち上がった勢いを得て、それをすべてぶつけて挑んでくる。しかし、日本は負けるはずがない! 森保ジャパンはもう、今大会の本命と言われたイランに変わって、第一優勝候補になった。油断は禁物だが、金曜日は自信を持って決戦に臨んでほしい。

<了>

著者プロフィール
マイケル・プラストウ/1959年、英国のサセックス州出身。80年に初来日。91年に英国の老舗サッカー専門誌『ワールドサッカー』の日本担当となり、現在に至る。日本代表やJリーグのみならず、アジアカップやACLも精力的に取材し、アジアを幅広くカバー。常に第一線で活躍してきた名物記者だ。ケンブリッジ大学卒。