私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、LINEやデートに漕ぎ着けるまでに、まずは“出会い”という最初の関門が待ち受けていることを忘れてはいないだろうか。

初対面であんなに盛り上がったはずなのに、LINEは既読スルー。仮に返事が来たとしても、いつまでたっても前に進まない。そんな経験、無いだろうか?

“出会い”を次のステップに繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?




悠馬と出会ったのは、友人・英理奈の紹介がキッカケだった。

とは言え、いわゆる“恋人候補”としての紹介ではなく、英理奈の仲の良い男友達と一緒に遊ぼう、というカジュアルな趣旨だった。

「こちら、私の学生時代からの友達の悠馬!こんなイケメンで性格も良くて稼いでいるのに、特定の彼女がいないんだよね〜」

サバサバとしている英理奈は、男友達が多い。

以前にも何度か英理奈の男友達と会ったことがあるが、悠馬は群を抜いてカッコ良かった。

「麻友ちゃんは、英理奈の何友達なの?」

最近人気の若手俳優を彷彿させるような爽やかな笑顔に、私は思わず面喰らう。

「英理奈ちゃんとは女子会で知り合って、仲良くなったんです」

「そうなんだ。二人とも雰囲気違うよね。それぞれ個性があって良いけど」

私の目が、悠馬に釘付けになっているのに気がついだのだろう。帰り際、英理奈がそっと私の耳元で囁いた。

「悠馬って、麻友のタイプでしょ?目がハートマークになってたよ」

英理奈には完全に見抜かれていたようだ。そんな英理奈は気を回し、悠馬と私のLINEを繋げてくれた。

しかしこの出会いが、苦しい恋の始まりだなんて、思いもしなかった。


一度は盛り上がった関係。なのに進まないのはナゼ?


宿題1:一気に良い感じになった!この時の男心を考えよ


英理奈が繋げてくれたLINEのおかげで、その日から私と悠馬は積極的に連絡を取り合っていた。

彼女がいないと言っていたのは本当のようで、私たちはすぐ次に会う約束をする。しかし英理奈に気を使ったのか、悠馬は英理奈も呼ぼうと言い始めた。

-もちろん良いけど、せっかくなら二人で行きたかったな…

そんなことを思いながらも、代官山にある『シドロス』へと向かった。しかし、ここから彼が考えていることがわからなくなり、迷宮入りしたのだ。




「この後僕の知り合いがやっているバーの周年パーティーがあって、食事済ませたらそっちに顔だしても良い?もし時間あれば二人とも一緒に行こうよ」

「そうなんだぁ〜でもごめん!私この後別件があるから、二人で行っておいでよ」

気を利かせた英理奈が、ナイスな断り方をしてくれた。こっそり英理奈に“ありがとう”と言ってみる。

「本当?じゃあ麻友ちゃん、二人で行こうか。英理奈、僕たち勝手に楽しむので」

-勝手に楽しむって、なんか良い響きだなぁ。

そんなことを考えながら、この後も一緒に行動できることにテンションが上がっている自分がいた。

そして1軒目を出る直前、英理奈がお手洗いに立って二人きりになった瞬間に、急に悠馬が質問攻めをしてきたのだ。

「麻友ちゃんってこんな可愛いのに、本当に今彼氏いないの?信じられないね」

男性は、興味のない女の子にはそんな質問はしない、とどこかで聞いた記憶がある。

「悠馬くんみたいな人がいたら付き合いたいんだけど、なかなかねぇ...」

「そうなの?そしたら僕、狙っちゃうよ?」

どうしてこうも女子は単純なのだろうか。

ストレートな誘い文句に褒め言葉は、何歳になっても、何度言われても、クラッと来る。それにここまでストレートな言葉は久しぶりに聞いた。

そんなことを話しているうちに英理奈がお手洗いから戻ってきた。

しかし、私は硬直したままだった。

悠馬が、テーブル下でこっそり手を繋いできたからだ。

「麻友、どうしたの?何か二人とも楽しそうだね」

何も知らない英理奈のツッコミに、素知らぬ顔をする。でも本当は、悠馬の押しの姿勢に、完全に心を持って行かれた自分がいた。

-ダメだ...悠馬くんのこと、好きかもしれない。

そう思うと、胸の高鳴りはもう抑えきれない。

その後英理奈と別れて二人でバーへと移動した途端に、私たちの仲は急速に縮まっていった。お互いお酒が入ったこともあり、密着度は増していく一方だったのだ。

二人でバーにいる間、私たちは誰から見てもカップルのようだったと思う。

「麻友ちゃんと一緒にいると、楽しいね」

盛り上がりすぎて、私たちは帰り際にキスまでしたのだった。

しかし、この夜が最初で最後の楽しい夜となったのだ。


永遠に進まぬ関係。悠馬からすると麻友はどういう存在?


宿題2:男が女に積極的に行かない時の、残酷な真実を述べよ


「私、悠馬くんのこと好きになっちゃったみたい。私のこと、好き?私って、彼女になれるかな? 」

酔った勢いで、キスをしたあと私は思わず本音を悠馬に伝えてしまった。

大人の恋は、時として勢いも大事である。恋愛だって一期一会。学生時代のように好きな人に毎日会える環境でもないし、一回のデートがとても重要だ。

今日のように一晩で大いに盛り上がり、お互いの気持ちが通い合うのはもはや奇跡のようなもの。

「僕も麻友ちゃんのこと、好きだよ」

-あぁ、ついに私にも彼氏ができた!

そう思い、その夜帰ってから私は幸せな気分と共に眠りについたのだった。

しかし、ここからが問題だった。その夜はあんなにも進展し、密接な関係にもなったのに、それ以降私と悠馬の関係は何一つ進まないのだ。




-麻友:悠馬くん、次は二人でご飯でもどうかな?
-悠馬:ごめん、今週忙しくて(汗)


あの日以来、悠馬との連絡はほぼ毎日取り合っている。

しかし、どうしてだろうか。食事すら行けていないのだ。何度誘っても“忙しい”と言われ、一向に二人で会える気配がない。

あの夜、たしかに私たちの心は通っていたし、向こうも好きだと言ってくれた。

でも悠馬からの連絡は急に減り、気がつけば私の方から毎回連絡をしている。

LINEも毎回私の質問に悠馬が答え、それに私が短く返信をしたところで終わる。

-麻友:今夜、何してる?
-悠馬:今夜は友達と表参道で飲んでるよ。麻友も来る?


誘いに答えてくれたかと思えば、毎回合流は2軒目から。しかも大人数でいる所に呼ばれることが多い。

でも嫌いならば、返信はせずに既読スルーにするはずである。LINEを送れば返事はくるし、こうしてこちらが誘えば(友達も一緒ではあるものの)来る?と言ってくれる。

だから嫌われてはいないはずだ。

一瞬でも心が通ったし、何なら“好き”とも言ってもらっている。

でも、あの夜のような盛り上がりは一切ない。一体この関係性は、何なのだろうか?

どうすれば良いのか分からず、今日も私は悠馬からの返信を待っている。

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今回の麻友の行動で、決定的にNGだったところはどこ?