池田教授が開発した巣箱型わな。低密度地域での活用を見込む(札幌市で)

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 北海道大学大学院文学研究科の研究グループは、全国で被害が拡大しているアライグマ対策として巣箱型のわなを開発した。木洞(きぼら)を寝床にする習性を逆手に取り、穴に入るとふたが閉まる仕組み。餌で誘引する必要がなく、スマートフォンに捕獲を伝える装置を取り付けることで見回りが省力化できる。実証試験では、アライグマが少ない地域で捕獲ができた。発生初期など低密度段階での活用を見込み、本格販売を計画する。

 わなは、木製で直方体の箱型。アライグマが穴に入りやすいよう踏み台も設けた。天板は開閉でき、捕獲後にアライグマかどうかを確認できる。軽量で運びやすさも重視した。

 アライグマの個体数が少ない大分県で2014、15年に試験したところ、地面に置いたわな10個のうち4個で捕獲できた。個体数が低密度の地域で捕獲できたことから研究グループの池田透教授は「発生初期でも効果的」と分析する。

 道庁の調べによると、道内の16年度の捕獲頭数は1万2354頭と過去最高を記録。生息範囲は10年前の24市町村から17年3月末時点で149市町村と広がり、農業被害も増えている。被害拡大を受け、今年度から道内では、本格的に捕獲実証を進める。池田教授は「寒さが厳しい道内では、越冬前の設置が有効な可能性がある」と説明。わなは、メーカーと共同で実用化を計画する。