ものづくり補助金に落とし穴、「納期遅れ」は対象外
問題は、旺盛な工作機械受注などを受け、主要部品の調達難から機械設備の納期が長引いていること。一部で納期が1年を超えるケースもある。
ものづくり補助金の対象は事業完了期限までに機械装置の発注、納入、検収、支払いなどが完了している事業者。1次公募では企業間データ活用型・一般型の事業完了期限は12月28日、小規模型では11月30日。この条件をクリアできなければ補助事業は採択されない。
例えば発注してから納入まで1年半かかるものは補助事業として実施されない。これは予算の単年度主義の性質上、避けられない。
企業庁は1次公募の際、中小企業に納期確認を踏まえた事業計画を策定するよう中小企業に注意喚起していた。予定される2次公募でも同様の喚起が想定されるが、中小企業とメーカーの困惑がどこまで解消されるかは先行き不透明だ。
工作機械の受注は過去にない規模で活況が続く。日本工作機械工業会がまとめた工作機械の4月の受注実績(確報値)は、前年同月比22%増と17カ月連続で増加。年初に2年連続で過去最高となる1兆7000億円と予想した2018年の受注額は、足元のペースが続けば2兆円に達する勢いで伸びる。
一方、懸念されるのが直動案内機器やボールネジなど主要部品の調達不足。急な需要の拡大に部品の生産が追いつかない状況が続き、工作機械の納期が長期化する一因となっている。
装置の正確な位置決めなどに使われるこれらの部品は、半導体製造装置や産業ロボットなど幅広い分野で使われる。その半導体製造装置やロボットの業界団体はそれぞれ18年度の販売高、18年の受注額は、2年連続で過去最高を見込む。
工作機械だけでなく主要顧客の需要が同時期に急拡大するなか、部品メーカー各社は人員の拡充や設備投資を積み増して生産を拡大。国内部品メーカー幹部が「現状の生産体制で対応できる努力は限界に近い」と指摘するように各社は対策を重ねるが、空前の規模の需要にすぐには応えきれないのが現状だ。
現在の部品の納期は数カ月から1年超まで製品ごとに異なる。中でも特注品などは長引く傾向にあり、専用機など高い精度が求められる工作機械では納期が1年を超える可能性も指摘される。
こうした状況は日本の強みである産業機械の機会損失だけでなく、専用機を活用して独自の加工を展開する中小企業への影響も懸念され、政府を含めた産業界全体で問題を共有する必要がありそうだ。
中小企業の間では、ものづくり補助金の適用を受けられないことへの不安が広がっている。補助金を活用し、大型マシニングセンターの導入を検討した長野県の中小製造業は「(補助金に関する)申請書類もほぼ整い、見積もりを出してもらうべく機械商社に確認したところ、納期がどんどん延び、1年以上先になると言われた。これでは、補助事業の対象外となってしまう」と話す。
納期遅れの一因は「直動案内機器、ボールネジ(の調達)が間に合わないとのことだった」という。
