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■声のトーンを上げて、「だからなんですね!」

「私、何歳に見える?」。女性にそう聞かれた経験は誰にでもあるでしょう。ビジネスの場の雑談で尋ねられたことがある人もいるかもしれません。どう対処すべきでしょうか。

1つの方法が、「△△さん、綺麗ですよね」と、年齢には言及せず、ポジティブな答えで話を逸らしてしまうやり方。相手がただ褒めてほしい、と思っているのなら、この答えで十分です。ただ、相手が具体的な年齢を欲していたり、会話のきっかけにしたいと思っていたりする場合は、それだけでは話は終わりません。

一般論で言えば、質問をした人は「若く見られたい」。だから見た目から考えた「相場」より10歳下を返答するのが1つの答えです。理想の答えは、実年齢マイナス5歳だと思います。しかし、相場より5歳下と考えて答えると、実年齢を超えてしまう恐れがあります。なので、あなたが50歳くらいと思ったら、「40歳くらいですか?」と答えるのが、あくまで一般論としての正解です。

いくら若く見積もって返事をしたところで、「適当に年齢を言っているだけ」と思われて、相手の本当の期待に応えられないこともあります。ですので、続けて「理由」を言うことが大切です。例えば「○歳に見えますよ。肌がすごくお綺麗なので」と返してみる。相手が美容法に凝っていたり、ジムやヨガなど健康に気を使っていたりすると、喜んで返してくれるかもしれません。そのときに、声のトーンを1つ上げて、「だからなんですね!」と相づちを打つ。そうすることで、相手の期待に応え、欲を満たしてあげるのです。

■答えに窮したら「何歳と言われますか?」で逃げる

会話の相手と付き合いがあり、好みやこだわりを知っている場合は、そこを褒めるのが一番いい。もし、初対面で聞かれたときは、観察力がないと褒めどころは見当たらないかもしれません。その場合、相手に思った年齢より若めに「○歳に見えます。なにかこだわっているんですか?」と話を振ってみる。答えがもらえたら、前述のケースと同じで、「だからなんですね!」と共感を示せば、相手もいい気持ちになります。まったく年齢の見当がつかない場合には「何歳と言われるんですか?」と聞き返し、返事を聞いたらすぐ「それより若く見えますよ!」と続けるのも1つの手です。

ただし、若めに答えていると、相手に「それは言いすぎ」と返されることもあるでしょう。でも、それで躊躇してはいけません。「本当に○歳に見えます!」と、本気で押し通せば、相手も嫌な気持ちはしません。

▼相手が褒めてほしいポイントはどこか

なかには、童顔だったり、年相応の風格が足りないと思っていたり、実年齢より上に言ってほしいと思っている人もいるでしょう。その場合も、期待に応えることが第一なのに変わりはありません。相手がどう言ってほしいかを考え、年を上に答えて「存在感がありますから」と理由を言うなど、褒めてほしいポイントを見つけ、期待に応えるのです。

心理学者のアルフレッド・アドラーは「相手の関心に関心を持つ」ことが重要だと語っています。「何歳に見える?」という質問にも、その気持ちが大切なのです。

(講師 平本 あきお 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)