年末年始は支出が多くなりがち(写真:freeangle / PIXTA)

年末はボーナス支給に始まり、忘年会、クリスマス、ボーナスセールに正月の準備と、とにかく消費意欲が高まる時期だ。

20〜69歳の男女に「来月の消費意欲」に点数をつけてもらい、その傾向をまとめている博報堂生活総合研究所の発表によると、2017年12月の消費意欲指数は56.9点。前月比+8.8ポイント、前年同月比+0.7ポイントで、調査開始以来の最高値になったという。

もともとクリスマスや年末年始を控える12月は例年、消費意欲が最も高まる月で、中でも、普段の節約志向への反動や、ストレス発散、自分へのご褒美などが購入のモチベーションになっている傾向があるとか。これを買いたい、というより、この時期くらいぱあっと消費を楽しみたいという気持ちの高まりが、この高い点数に結び付いているかもしれない。

一方、消費したいといっても、当然のことながら使えるおカネが無限に出てくるわけではない。使う意欲が高まったといっても、突出した消費先は調査には現れてはこない。たとえば、この時期の有力な売れ筋と思われる食品、ファッション、家電への消費意欲をみると前年同月比で下がっている。外食・旅行・レジャーも同様だ。

売る側としては、最も消費してほしいと願う最大のチャンスなのだが、実際にはこの時期はモノが高いので、あまり浮かれて買いすぎるのは危ない。適度に消費を楽しみ、後から後悔しないようにするにはどうしたらいいか。年末年始にうっかり高いモノをつかみすぎないよう、今回の記事ではこのシーズンに賢い買い物をする術を考えてみた。

年始に食べたい上質品は年始のほうが安い?


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年末の風物詩といえば、TV中継に映ったアメ横や築地に買い出しに行く人波の雑踏だろう。以前、築地関係者にちらっと聞いたところ、当然ながら年末に向かって売価はじりじりと上がっていき、買い物客が集まるピーク時は正直安い時期とは言えない、安く買いたいなら12月の前半までか1月の10日以降のほうがお勧め、と言われた。価格は需給で決まるとすれば至極もっともで、正月食材で冷凍できるものなら12月の初めに購入してしまったほうが安いし、ゆっくり選べる。逆に、どうせ高い時期に買うなら、カードが使える店で購入し、その値上がり分をポイント付与で少しでも取り戻すほうがオトクのメリットはある。

なお、昨年デパートの初売りを回ったときの感触では、デパ地下ではハムや焼き豚を詰め合わせたセットや、カニやマグロなどの贅沢魚介がお手頃価格で見受けられた。これらはハレの日食材のため、三が日が過ぎれば需要がどんどん落ちてくる。年末よりも正月を迎えてしまってからのほうが、これらハレの日食材は値が落ち着く印象だった。お正月は実家や旅行先でゆっくり過ごし、正月気分が抜けかけた頃に、あえてハレの日食材を買いに行ったほうがお手頃価格で手に入りやすいかもしれない。

年始といえば、福袋が毎年人気を集め、筆者は中でもハズレが少ない食品福袋をお勧めしているが、これをお年賀の品がわりに買い求めるのもいい。売価以上の品が入っており、しかも福袋ときくと縁起が良い響きではないか。

スイーツ福袋は子どものいるお宅へ、チーズやハムソーセージ福袋はワイン好きなお宅へ、和菓子福袋は実家のお年賀に、というのも気が利いている。ただし、数を限定する店が多いため、一家総出で買い回ったほうが安全だ。

筆者は昨年、バレンタイン用のチョコを1月の福袋で買い、それでまかなおうともくろんだ。1000円の福袋に3種類のチョコが入っていたので、1箱あたり約333円で手に入ったことになり、そのショップでの通常価格よりかなり安い。それぞれ包装してあるのでコンビニで買ったチョコよりは高級に見えるし、「コイツ節約したな」という印象は与えにくいと考えたのだ。もちろん、賞味期限も生鮮ものと違って長く、2月のバレンタインにも問題ない。大事な方向けにはともかく、家族用には十分だと思う。

さらに、1月中旬になると、ギフト品解体セールが始まる。お歳暮用の箱詰め品がバラ売りになり、こちらもカニ缶などちょっと贅沢な品を買うならお勧めだろう。

2月に入ると狙うは「冬物」

2月に入ると、家電量販店で冬物家電やあったか寝具の処分セールが始まる。3月には新生活用の家電を並べる必要があり、年度末商戦も始まるので、早く売り切って売り場をあけておきたいのだ。そろそろ買い替えを考えている人や、来シーズンのために安いところで拾いたいという人は、この時期が狙い目だ。春の声が聞こえてくると売り場の様子がガラッと変わるので、のんびり構えて買い逃しのないよう注意。

また、今年は冬季オリンピックシーズンであり、このようなスポーツのビッグイベントがある年には、ハイビジョンや4Kタイプのテレビが売れると言われている。平昌オリンピックに関しては楽観視できない事態が続いてはいるが、そのセオリーに立つとイベントをあてこんだ商戦は年明けには終わりに向かい、値段がこなれてくるのではと思われるので、家電量販店を冷やかしてみてもいいだろう。

また、バレンタインデーが終わるとチョコレート類がセールになるので、男性諸氏はそこでホワイトデー用の買いだめをしてしまうというのも手だ。


さらに3月に入ると売り場は、新生活商戦にシフトチェンジする。卒業式や謝恩会向けのフォーマルスーツやアクセサリーにバッグ、フレッシャーズ用のスーツが並ぶ。

生活用品としては家具に家電、新居に移る人のためのキッチン用品など。これらが4月を過ぎると処分セールに移動してくるので、急ぎ必要でないものなら買うのを少し待ってもいいだろう。

新生活商戦としては、新入生やフレッシャーズを意識したクレジットカードや携帯電話の契約、銀行の新規口座開設キャンペーンが行われる。ポイント優遇などのインセンティブがあり、中にはフレッシャーズに限定しないものもあるので注視しておこう。

また、春は引っ越しシーズンともなるが、業者に聞いたところ、2月と3月では日によって倍近く値段が違うという。さらにGWに移動する人も多いので、この時期も高い。そのほかにも人が移動しやすい夏休みや年末年始も同様に高くなるという。辞令に左右される移動なら仕方がないが、引っ越し代の面ではGW明けのほうが価格交渉はしやすいだろう。

お役所の予算枠にも敏感になろう

4月に入れば新年度だ。自治体が行う助成制度は新しい年度の予算がここからスタートする。公的な助成制度は予算枠が決まっているため、利用したいものがあれば早めに申し込むほうがいい。

引っ越しの話を書いたが、たとえば東京都新宿区などは、子育てファミリー世帯に対し、引っ越し費用の助成などを行っている。また、東京都には中学3年生・高校3年生を対象に塾費用や受験料を無利子で貸し付け、さらに高校・大学等に入学した場合、返済が免除になる「受験生チャレンジ支援貸付事業」があり、こちらも受け付けは4月から(※公的な助成には所得制限など条件があるので事前に確認を)。

自治体が助成してくれる内容はそれぞれ異なるが、子育て世帯向けの助成と、住環境を整えるための各種リフォームなどへの助成が多い。いわば、どちらも長く住んでくれる人向けのサービスだ。家の改修などの予定があるなら、予算枠がまだ潤沢な新年度スタート時に検討を始めたい。

以上、駆け足で、年始から4月初頭までの「節約買い物カレンダー」を紹介してみた。このように、年明けからはさまざまなイベントが目白押し。年始から家計簿をつけて挫折する人が多いのは、それに絡んだイレギュラー支出が多いからだ。

それを防ぐには、本来は12月のボーナスからイベント費を取り分けておくのが賢明なのだが、そこがなかなか難しい。せめていちばん高い時期に物を買わないようにしたいところだ。