危うい場面もあったが、フル出場を果たした谷口は、自信を漲らせた。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権]日本 1-0 北朝鮮/12月9日/味の素スタジアム
 
 2年ぶりの代表復帰となった一戦で谷口彰悟は、クレバーに振る舞って、“らしい”プレーを見せた。
 
 2年前の代表戦はボランチで起用されていた谷口は、未招集の間にセンターバックとして研鑽を積み、今シーズンはJ1全試合出場を果たし、川崎フロンターレのJリーグ初制覇に貢献。名実ともに日本トップクラスのDFとなった。
 
 この北朝鮮戦の前には、「やり慣れている」とセンターバックのプレーに自信を見せてもいたが、先発として起用されると序盤は周囲との連携面で、やや不安なプレーを見せてしまった。
 
 緊張はあったのか? そう問われたCBは、「みんな気を使っていたと思う。自分もさぐりさぐりの部分が多少はあったのかな」と苦笑いを浮かべ、「今日は(中村)航輔に救われたと思ってます」と、この日、一番の功労者を称えた。
 
 22分には、ペナルティエリア内で相手ともつれて『PKか?』という危うい場面もあったが、本人は普段通りクールに振り返った。
 
「僕の中では絶対ノーファウルだなって感覚でしたけど……まぁ、ヒヤッとさせてしまったところは反省しています(笑)」
 
 反省を口にした谷口だが、「落ち着いてゲームを運べたと思う」と手応えを得た後半は、56分からピッチに立った伊東純也ら攻撃陣へ頻繁に楔のパスを繋いで見せた。そのチームの起点となったプレーを次のように分析している。
 
「相手は引いて、ブロックを組んでいたので、フリーで持てるセンターバックの僕が、楔や裏へのパスを出せるというのは強みになったと思う。思い切ってやれたし、チャンスにも繋がったので続けていこうと思います」
 
 センターバックとしてプレーする初の代表戦で、見事に完封勝利を成し遂げた。では、自己評価はいかほどなのか?
 
「(昌子)源にしろ、(室屋)成にしろ、初めて組む選手たちだったので、そういう中では上出来かなと思ってます。コントロールの部分とかはもっと良くなると思いますけど、センターバックは今シーズンを通してやってきたので、自信もありましたし、比較的うまく対応できたかなと思います」
 
 センターバックとして1シーズンを戦い抜いたことへの矜持を示した谷口。未招集組を含めれば、同ポジションには吉田麻也(サウサンプトン)や槙野智章(浦和レッズ)などライバルは多い。しかし、26歳の頭脳派DFは、約半年後のワールドカップメンバー入りを諦めるつもりはないようだ。
 
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)