育て!ニッポンの医療ベンチャー、欧米との大きな差を追う
抗体医薬品は抗がん剤などが主流で、これまで創薬ベンチャーなどが充実する海外勢が存在感を発揮してきた。窪田社長は「日本の医薬品が大幅な輸入超過に陥っている一因」と指摘する。
抗体医薬品は高分子医薬品で高度な製造技術が求められ、コストも高い。一方、ペプチドを医薬品として活用するペプチド医薬品はコストが安い「低分子医薬品」と、抗体医薬品の中間となる「中分子医薬品」。抗体医薬品よりも製造コストが下がる。日本で研究が進んでいる技術だ。
ペプチスターはペプチド技術が海外に流出しないよう、参加予定の企業を含めて“オールジャパン”体制で事業を進める。出資する積水化学工業は、生産性の高いペプチド合成技術により、従来方法より安価で高純度、高品質なペプチド合成法の確立を目指す。
大手企業と提携すれば資金面や信用面でスムーズな事業展開が見込める。ただ、自力でビジネスを切り開く力を備えることも必要だ。
眼疾患領域の医薬品開発を手がける窪田製薬ホールディングスは昨年、期待されていた治療薬候補の臨床試験が不調に終わった。共同研究先の大塚製薬との提携にピリオドが打たれたため、17年12月期の売上高はゼロの見通しだ。現在は協力相手を探しながら、開発費が10億円前後とこれまでより少なく市場成長も期待できるテーマに優先的に取り組む。
大手企業にとって「一度、失敗した開発品に取り組むにはハードルがある」(窪田良会長兼社長兼最高経営責任者)。同社は自社単独の開発を進めながらウエアラブルの医療機器デバイスの研究など、新分野に挑む。「イノベーションを生むには、これまでの常識を全く外して考えることも大事」と窪田良会長は前を見据える。
日本製薬工業協会によると、薬の候補として研究を始めた化合物が新薬として世に出る成功確率は約3万分の1という。VBにとって、開発パートナーを獲得できるかどうかは死活問題だ。大手企業の関心を引きつけながら、イノベーションの中心となれるか。それぞれの挑戦は続く。
医工連携
医療ベンチャー(VB)の育成に向け、医療現場のニーズと企業の技術をマッチングする動きが広がっている。その『聖地』ともいわれるのが、医療機器の企業が集積する東京都文京区の本郷エリアだ。
