スマホにWAONカードをかざして決済(TFペイメントサービス提供)

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 スポーツの秋。プロ野球では日本一を決める日本シリーズが行われているほか、サッカーのJリーグも今シーズンの大詰めを迎えた。スポーツ観戦が盛り上がる中、印刷2社は、そうしたプロスポーツの現場で多様なサービスを展開している。

DNP/当日限定の選手写真
 大日本印刷(DNP)傘下のDNPフォトイメージングジャパン(東京都中野区)は、練習中や試合中のプロ野球選手をプロのカメラマンが撮影し、その写真をその日のうちに球場で販売するサービスを手がけている。DNPフォトイメージングジャパン企画本部企画推進部の堤丈洋リーダーは「現地での観戦を促すきっかけになる」と事業の意義を語る。

 球場でカメラマンが撮影した写真を同社の本社に伝送し、トリミングした上で球場にデータを送り返す。写真は球場で印刷し、1枚300円で販売している。

 写真は試合当日に球場でしか購入できないため「サービスの認知が進むと、ファンにとって、なくてはならないものになる」(堤リーダー)と自信を見せる。このサービスは2013年に札幌ドーム(札幌市豊平区)で開始。その後、17年の日本シリーズを戦う福岡ソフトバンクホークスや、横浜DeNAベイスターズのホーム球場など合計4球場に拡大した。

 またプロバスケットボール「Bリーグ」や、Jリーグでも同様のサービスを展開している。開始当初は売り上げが1日3万―5万円のチームもあったが「今や100万円を超える日もある」(同社関係者)ほどの人気ぶりだ。

トッパン/売り場でスマホ決済
 一方、トッパン・フォームズのグループ会社、TFペイメントサービス(東京都新宿区)は、Jリーグの試合会場でスマートフォンを使った電子マネー決済サービスを始めた。同社は電子マネーの決済事業などを手がけており、これまでプロ野球で同様のサービスを展開してきた。Jリーグで採用されたのは初めてだ。

 J3リーグに所属する「福島ユナイテッドFC」のスタジアム内にあるグッズ売り場では、店のスマホに客が電子マネーの「WAON」カードをかざすと会計できる。これまでWAONの専用端末には10万円程度が必要だった。同サービスで、店は初期投資を2分の1から3分の1程度に抑えられるという。

 同社の増田俊朗社長は「今後も電子マネー決済シーンの多様化に貢献していきたい」と力を込める。プロスポーツの熱気が高まる中、印刷2社は縁の下の力持ちとして、その勢いを後押ししている。
(文=福沢尚季)