12日、日本サッカー協会は2020年東京五輪に臨むU-23日本代表に、森保一監督が就任することを了承しました。森保監督は、僕が現役時代に対戦したこともある方です。ぜひがんばってほしいと思いますし、そのためにはいろいろ考えなければいけないことがあると思います。

まず、日本サッカー協会の中で五輪の位置づけをどうするのか。僕はワールドカップに比べて、五輪はだんだんプライオリティが低くなってきた気がします。確かに世代別代表で臨む大会なのですが、重要度は低くていいのでしょうか。

リオデジャネイロ五輪でのブラジル代表は、優勝経験がまだなく、しかも地元開催ということもあり、力を入れてチームを強化していました。ですが、単にプライドやメンツの問題として強化したのではなく、その後の代表チームにつなげています。

U-23代表は、A代表に最も近い存在です。本来なら、五輪代表チームがすぐ次のワールドカップメンバーに続々に入ってきてもおかしくありません。では日本はどうか。

今もまだ日本代表の中心として活躍しているのは本田圭佑、香川真司や長友佑都、岡崎慎司や吉田麻也という2008年北京五輪代表です。2012年ロンドン五輪代表からは2014年ワールドカップに出場した山口蛍以外でいうと酒井宏樹、酒井高徳、杉本健勇がやっと台頭してきいて、2016年リオ五輪代表は井手口陽介、浅野拓磨、遠藤航、植田直通など当落線上の選手が多いのではないでしょうか。

また、現状では、U-23日本代表には様々な制約があります。FIFAの大会ではないため選手たちを拘束することができません。リオ五輪では直前に久保裕也がチーム事情で合流できなくなりました。また、たとえばローカルルールとして1つのチームから招集できる人数に制限がかけられることもあります。

日本サッカー協会がU-23日本代表をこれまで以上にサポートすることは、単に自国開催の五輪を盛り上げるためだけではありません。日本のサッカーの将来を考えると、とても重要なミッションだと思うのです。

今回、僕が期待しているのは西野朗技術委員長です。西野委員長は僕たちがいたU-23日本代表の監督として、28年ぶりに日本を五輪に導きました。そこでの苦労を一番わかっている方です。きっと森保監督を最大限バックアップして下さるものだと思います。そして森保監督には、1試合でも多く五輪で試合をしてほしいと思います。