なんとくまモンからラオウまで!力士のおしゃれアイテム「化粧まわし」の秘密

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ここも見どころ!大相撲を華やかに彩る化粧まわし

土俵入りの場面などで力士たちが付けている華やかな化粧まわしは、大相撲の楽しみの一つですよね!

化粧まわしは取組に使う「締め込み」と呼ばれるまわしとは異なり、観客が見て大いに楽しむためのものです。そのため様式が重んじられる大相撲の世界の中でも、かなり自由度の高いアイテムとなっています。

撮影:芳川末廣

そのデザインは多種多様で、強い生き物や縁起物などの定番から、人気漫画やご当地キャラなどがあしらわれた奇抜なものまで揃っています。時には企業キャラクターやロゴがあしらわれ、広告としての役割を担うこともあります。

化粧まわしの多くは企業や後援会から、力士の昇進を祝ったり応援するために贈られます。博多織や西陣織などの高級な織物を使うことが多く、金糸や銀糸で豪華な刺繍を施すので、安くても一本100万円はすると言われています。高い物では、宝石を織り込んだ億単位のものまで存在していたそうですよ!

化粧まわしは前掛けじゃありません

見るのも楽しい化粧まわし。普通のまわしの上からエプロンのようにして付けているように見えませんか?

実は化粧まわしも取組用のまわしと同じく一本の布からできており、同じように締めているんです。全長は約6mもあり、そのうち端1mほどに装飾が施されていて、その部分が見えるよう前に垂らしているわけです。重さは約7〜8kgもあるそうですから、締めて歩くだけでも相当な重労働ですね。

ちなみに取組用のまわしの下は何も履きませんが、化粧まわしの場合はさらしのフンドシを締めた上から締めているそうです。

ルーツは紀州藩

化粧まわしの始まりは、元禄時代までさかのぼります。勧進相撲が盛んになったこのころ、江戸時代の大名たちはとにかく相撲に熱狂!大名は競って力士を召し抱え相撲を取らせていました。人気力士は出身地に関係なく召し抱えられ、本場所で勝利することでタニマチである大名の名を上げるという重要な役割を担っていたのです。

そんな時代背景の中で紀州藩が、大切なお抱え力士にひときわ華やかで美しいまわしを与えました。これが化粧まわしのルーツとされています。

選ばれし力士だけが着けられる装飾とは?

化粧まわしは、十両以上の力士だけが身に着けられる特別なもの。そんな中でも一、二の位にある横綱と大関だけが許されている装飾があります。

それは、化粧まわしの先にぶら下がっている暖簾のような房を「紫」にすること。古くから日本では紫は位の高い色とされてきましたが、これは大相撲においても同じです。

例外的に、横綱土俵入りで両サイドに控えている太刀持ち・露払いと呼ばれる2人の力士もこの特別な紫の房を付けることができます。つまり、横綱の化粧まわしは太刀持ち・露払いの分まで3つ揃えて作ることになるのです。総額いくらかかるのか、考えただけでもドキドキしてきますね!

撮影:芳川末廣

お相撲さんたちは昔からファンの思いを背負い、時には広告塔のような役割を担いながら土俵に立ってきたんですね。化粧まわしのひとつひとつに込められた熱い思いを感じながら、大相撲を楽しみましょう!