奥原希望【写真:Getty Images】

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バトミントン世界戦選手権・女子単決勝、リオ五輪で敗れたプサルラを死闘の末に撃破

 バドミントンの世界選手権(グラスゴー)は27日、女子シングルス決勝で世界ランキング12位の奥原希望(日本ユニシス)が同4位のシンドゥ・プサルラ(インド)を21-19、20-22、22-20で下し、悲願の金メダルを獲得した。日本史上初の同種目制覇を成し遂げた22歳は、自身の現在地について「東京五輪に向けたスタートラインに立っただけ」と語った。

 まさに死闘だった。

 決勝戦は序盤から一進一退の攻防。第1ゲームを21-19で先取するも、続く第2ゲームを20-22で奪われ、勝負は運命の最終ゲームへ。40回以上の手に汗握るラリーが何度も続き、ポイントが入るたびにお互いに膝に手をつき、コートに倒れ込む激しい応酬。それでも、奥原の執念が勝った。

 対戦したプサルラは、リオデジャネイロ五輪シングルス準決勝で敗れ、頂点への道を阻まれた因縁の相手だ。悔しさを胸に、粘りに粘って第3ゲームを22-20で制し、悲願の世界一へ。勝利が決まった瞬間、奥原は思わず感極まり、目頭を押さえた。

 日本の選手が世界選手権でシングルス優勝を果たしたのは史上初。全種目を通じても、1977年大会の女子ダブルス、栂野尾悦子、植野恵美子組以来の金メダルという快挙だった。

「優勝は明日になれば過去のもの。ここが私のゴールではない」

 試合後、大会公式ツイッターがインタビュー動画を投稿。奥原は「最後まで足を動かしてディフェンスできました。後半は良いショットというよりも、どれだけミスを少なくラリーを続けられるかというところが勝因になったと思います。そこで心折れずに、最後まで足を動かしていたのが良かったです」と女子シングルス史上2番目に長い1時間50分に及ぶ激闘を振り返った。

 さらに、奥原はインタビュー内で今後の目標についても熱い想いを口にしている。

「東京(五輪)に向けたスタートラインに立っただけ。自分が現状にとどまっていたら、絶対に良い結果は残せません。もうこの結果(優勝)は、明日になれば過去のものになってしまう。ここが私のゴールではないので、もっともっとこれからも勝ち続けられるように頑張りたいと思います」

 両膝や昨秋に痛めた右肩の故障を乗り越え、ようやくたどり着いた栄冠。それでも、奥原にとってはあくまで通過点に過ぎない。1年前にリオで獲り逃した“忘れ物”を東京五輪で手にすべく、22歳のヒロインはさらなる高みを目指して走り続ける。