フジの企業体質は変わらない?(写真はイメージです)

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 形変えても中身変わらずか。『週刊文春』(文藝春秋)が7月12日、フジテレビの会長の座を退いた日枝久(79)取締役相談役の院政続行を裏付ける音声テープの存在を明らかにした。打ち切りがウワサされている『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)など一部の長寿番組が、命拾いしそうな気配だ。

■日枝院政を示す音声流出…変わらないフジの企業体質

 低視聴率の責任を背負わされた亀山千広元社長(61)とともに会長から退任した日枝氏は、取締役相談役のポストに就任した。これにより社内改善も期待されたが、一部メディアの「日枝氏の院政が敷かれるのではないか」という予想が的中した。

『週刊文春』は7月3日に行われたというフジ社内の全体会議の音声テープの内容を公開。嘉納修治新会長(67)が日枝氏を「代表」を呼ぶことを提案し、会議で承認されたという。また同誌の直撃に対して日枝氏は「当たり前のことじゃないかな」などと話し、院政とも解釈される現状を肯定した模様。

「あらゆるジャンルで低視聴率番組を連発するフジは、もはや『企業体質から変えないとダメだ』と言われて久しい。しかし長年フジを牛耳ってきた日枝氏が権力を保つため、これでは根本的な解決には至らない。状況は、上層部がファンから猛非難を食らい、イメージが悪くなっているジャニーズ事務所に似ている。ただ音声テープが流出している点から見て、フジ社内に危機感を覚える人間がいるのはたしか」(報道関係者)

 過去にフジテレビの買収にも動いた堀江貴文(44)は、6月30日放送の『5時に夢中!3000回SP』(TOKYO MX)で「(日枝氏は)そろそろ辞めた方がいい」と忠告。また局内のスタッフが日枝氏に「忖度している」ため、自身はフジの番組に全く呼ばれないと語っていた。

 一方、日枝氏の院政続行で割を食う番組もある。

 その筆頭株が『とんねるずのみなさんのおかげでした』だ。とんねるずの石橋貴明(55)と木梨憲武(55)がレギュラーを張る同番組は、1997年6月から数えて20年も放送されている。しかし年々マンネリ化して視聴者に飽きられ、番組打ち切り説が絶えない。

 だが日枝氏の院政が続くとすれば、放送が継続される可能性は飛躍的に上がる。

「とんねるずの二人と日枝氏が懇意の仲であるのは、公然の秘密。『とんねるずのみなさんのおかげでした』は日枝氏に守られた“聖域”となるだろう。またフジの黄金期を支えた『めちゃ×2イケてるッ!』(同)も、日枝氏のおこぼれに預かるかもしれない。“コストカッター”の宮内正喜新社長はどちらも切りたくてたまらないだろうが、後番組が不発に終われば、日枝氏の怒りを買って早期退任を迫られる恐れもある。その覚悟をもって改革にあたれないなら、宮内社長はお飾りで終わる」(前出・関係者)

 7月7日の定例会見では、宮内社長はフジが「非常事態」だと宣言したばかり。そんな事態を引き起こした根源とも言うべき日枝氏の院政は、フジに暗い影を落としそうだ。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。