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●GRANBEATで聴くハイレゾの音は、レコーディング現場の音に相当近い

あのデーモン閣下が最近、いわゆるガラケーからスマホに機種変更したという。それもハイレゾ再生を売りにするオンキヨー「GRANBEAT」。アーティストという本業や啓蒙活動に、話題の高音質スマホはどのように関わるのか? その背景を探るべく、閣下に直撃インタビューを試みた。

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――最近、ガラケーからGRANBEATに機種変更されたばかりとお聞きしています。使ってみていかがですか?

デーモン閣下 いい音のスマートフォンということでGRANBEATを選んでみたのだ。実際、非常に満足度の高い音楽再生ができている。電話もEメールの送受信もできるし、1台でなんでもできるということで便利に使っているぞ。

実は、吾輩は何年もタブレット型携帯端末も従来型携帯電話と併用して使ってきたのだ。だからアプリケーションを使ってどうこう、ということには慣れているのだ。強いて言うと、アイコンが小さいからなんとか大きくできないものか、とは思うが。

――通話以外でどのような機能を利用していますか? 使ってみたいアプリはありますか?

デーモン閣下 音楽再生を除けば、ほとんどがEメールの送受信とWeb検索だな。使ってみたいアプリケーションか? 知り合いのミュージシャンがスマートフォンで音楽を編集したりアレンジしたりするのを横目で見ているが、あれはいい。音楽編集はぜひやってみたいぞ。

そういえば、「スポナビライブ」というスポーツ番組を中継するアプリケーションがあるだろう? 大相撲三月場所で、稀勢の里の優勝が目前という非常に大事な日の夕刻にショウの本番が入っていて、テレビの前にいることができなかったのだ。慌てて侍従のスマートフォンにスポナビライブをダウンロードさせ、それでどうにか見ることができたのだ。

時間を溯って再生する機能、あれはタイムシフト再生というのか? 幕の内の優勝争いに関わる結果が知りたいのだが、その再生では序の口から映像が提供されていて、全部見ている時間はなかったので、6時間分くらいスクロールしてやっと終りの方を見ることができたのだ。チャプターを作ってくれるとありがたいのだがな (笑)。いずれにせよ来場所までには吾輩のGRANBEATにも導入せねばな。

――レコーディングや収録のあと、あるいは移動中にGRANBEATをどのように活用していますか?

デーモン閣下 目下のところ、吾輩はコンサートツアー「DEMON'S ROCK "EXISTENCE" TOUR, DC19」の準備中でな。毎回の練習はすべて録音し、翌日までに修正ポイントをまとめるといった作業を繰り返す……。一日練習して夜の8時9時にリハーサルが終わったところで、翌日の昼までにすべてを聴き直すのだ。ここはまとまりがよくない、ここはこういうアレンジにしよう、などと毎日調整を続けているわけだ。

コンサートは音楽だけをただ順番に演奏するものではないのだ、吾輩の場合はな。この曲とあの曲の間にSEを入れよう、こんなBGMで語りを入れてみようとか。他のメンバーに「こんなBGMはどう?」とか、音楽をEメールに添付してやり取りすることは日常茶飯事だし。今後はSDカードを使った音楽の受け渡しも考えたいところだな。

ミュージシャンは、レコーディングスタジオで少しづつ曲作りを進めていくものだが、目の前で音が重なった状態を聞き、楽器や声の左右のバランスをもう少し変えてみよう、楽器の聴こえ方のバランスを調整するためにイコライジングしてみよう、エフェクターをかけてみよう、などと本当に細かく調整するのだ。そして最終的な音はスタジオで決めるのだが、その音が世の中で一番いい「その曲の音」なわけだ、当たり前の話だが。農家で採ったばかりの野菜が一番美味しいのと一緒で、製品化されてユーザーが手にするのは吾輩がスタジオで聴いた音より微々たるものだが音質は低下しているのだ。

だが今回、GRANBEATでハイレゾリューション音源を聴き比べたとき、スタジオで聴いた音にものすごく近いな、と感じた。先ほどの野菜のたとえになるが、最終的にこうしようと決めたときの楽曲の音はヘッドホンで判断するものではないのだ。ほとんどは高品質なスピーカーからの音で、基本的にどの曲も同じ環境で決めるわけだが、GRANBEATで聴く音は、そのスタジオの現場の音に相当近い。

(撮影 : 高嶋一成)

●「これほどまでに違うのだな」、閣下のこだわりに応える立体感

――閣下は音に相当なこだわりをお持ちのようですが、聖飢魔IIや閣下のソロの楽曲を制作するとき、もっとも気をつけていることは?

デーモン閣下 いろいろあるな。音質というジャンルもあれば、そもそもどのような楽曲なのかということもあるし。曲の構成、歌詞の内容……、今日のテーマである「音質」ということで考えれば、曲のタイプを生かしきった音質にしたい、とういうことだな。

ソロだから歌をメインに聴かせる曲だろうと思われてしまうかもしれないが、場合によってそうではないときがあって。楽器の迫力を前面に出したいときもあるし、音は大きくなくてもいいからこの楽器をもう少しきわ立たせたい、というときもあるのだ。演出とでもいえばいいのか? その楽曲において一番聴かせたい部分はどこなのか、そのディレクションをする立場の自分が決断するわけだ。

――ハイレゾサウンドを体感してみて、正直な感想をお聞かせください。

デーモン閣下 率直にいうと、その音楽を聴くにあたって「もっとも自然な状態で聴こえる」ということだな。CDやMP3と比べると、これほどまでに違うのだな、と。GRANBEATを使い、同じ曲をハイレゾリューション対応のヘッドホンと非対応のヘッドホンで聴き比べて、今度はハイレゾリューション品質のマスター音源とそうではない同一曲を聴き比べたのだが、どれも違う。

スピーカーで音を聴く場合、左の耳にも右のスピーカーから出ている音は聴こえているし、逆の耳もそうだ。つまり、それを「普通の聴こえ方」として我々は音楽を作っている。だが、実は普通のヘッドホンはスピーカーと違って、音のセンター……、つまり反対側の音が反対の耳に届く音、これがきちんと出ないので、我々にはやや違和感がある。

だけれど、この「GRANBEAT」とそれに対応するヘッドホンの併用ではそこの違和感がほぼない。別な表現をすると「立体的に聴こえる」。モノラル時代からステレオ時代に移行したとき、音が立体的に聴こえると感心したが、それは左右に立体的と感じていただけなのだな。そう、ハイレゾリューション音源ではさらに「奥行き」も感じられるのだ。

バスドラムが典型的だな。レコーディングでもコンサートでもマイクを立てる (音を拾う) のは基本的に正面側の「フロントヘッド」と呼ばれる共鳴部分だ。だが実際の音はドラマーの足のビーターによる打面にて奏でられていて、厳密には「打った音と共鳴する音」の2つが存在するが、CDなどではそこまでは聴こえない。しかし、ハイレゾリューションだとそれがよく聴こえる。これが吾輩の言う奥行きの立体感だな、これは面白かった。奥行きを意識して聴き比べれば、皆も理解できると思うぞ。

――聖飢魔IIの大教典・小教典や閣下ソロ作品のなかで、ハイレゾサウンドで聴いてみたい曲のベスト3を教えてください。

デーモン閣下 ええええ〜、それは難しい質問だな (しばし考える閣下) ……。ひとつは新アルバム「EXISTENCE」に収録されている「深山幻想記 -能Rock-」だな。今回のアルバムで落ち着きどころを見つけるまで、もっとも難しかった曲だ。大鼓、小鼓などの和楽器がどの場所で鳴っているのか、音質がよければ録音時の立ち位置がわかるはず。これも立体感だな。

次に聖飢魔IIの大教典「LIVING LEGEND」のラスト「GO AHEAD!」も聴いてみたい。もう1曲挙げるのなら、ソロのベスト盤「LE MONDE DE DEMON」に入っている「THE OUTER MISSION」だな。ライヴで聖飢魔IIの曲をカヴァー演奏しているものだ。

――4月21日、大阪を皮切りにソロツアー「DEMON'S ROCK "EXISTENCE" TOUR」が始まりますが、信者の方たちに向けて一言お願いします。

デーモン閣下 来ればわかる! 来ないヤツにはわからない!

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さて、オンキヨーとデーモン閣下の関係といえば、D.C.18 (2016) 年春に発売され即日完売となった聖飢魔II30周年記念限定ヘッドホン「SEIKIMA II」に始まり、カスタムイヤホン「Devil's Ear」、そして今回発表となったハイレゾ対応インナーイヤーヘッドホン「Legend」と、ある意味新譜と肩を並べるほどに熱いものとなっている。Legendには、今回の企画のために特別にリマスター制作された (一般に発布されたことのない) ハイレゾ版の2曲、「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」と「GOBLIN’S SCALE」のダウンロードコードが付属する。

(撮影 : 高嶋一成)