葬儀やお葬式の式場で故人を送る大切な役割を果たす納棺士。

2009年にアカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画『おくりびと』は、そんな納棺士の日常を描いたドラマでしたが、米テキサスではいま“おくりびと”ならぬ“おくりいぬ”の誕生に世間が注目しています。

式場専用のセラピードッグ

世界初のお葬式向けセラピードッグの訓練に励むカーミットは、生後11か月のボーダーコリーのミックス犬。

飼い主のメリッサ・アンフレッドさんはテキサス州オースティンにある自然葬の霊園に勤めています。

母親の勧めで納棺士となった彼女ですが、仕事にまつわるストレスは思っていたりよりも過酷なものでした。

メリッサさんがケアする遺族の人々や葬儀場はどこも悲しみで溢れており、彼女はそんなエネルギーに日々押しつぶされそうになっていたのです。

新しい家族は不思議な能力の持ち主

そこで彼女は自身の癒しを求め、7か月前にカーミットを自宅に迎え入れました。

カーミットはポジティブなエネルギーでいっぱいの元気な子犬でしたが、共に暮らすうち彼の更なる能力に気が付き始めたそうです。

ある日彼女が職場に愛犬を連れて行くと、カーミットは自然と遺族のそばへ向かい座り込みました。

そして遺族がカーミットの体を撫でると、その人の表情から一瞬悲しみが消えるのが見えたと言うのです。

傷ついた人々の心に寄り添う

施設のオーナーであるロバート・ファルコンさんも彼女に同意します。

「カーミットは完全に場の空気を読んでいるんだと思う。私が親族と式の打ち合わせをしていると、絶妙のタイミングで部屋に現れ自己紹介をする。そしてその場にいる人の中で最も悲しみに打ちひしがれている人を判断し、そばに寄り添うんだよ。」

カーミットはお葬式の最中や老人ホームにいるときは、温かな空気を振りまきつつ驚くほど静かにしているそうです。

また彼のブルーとブラウンのオッドアイを見ると自然と心が落ち着く、という来訪者もいるのだとか。

「お葬式に来るのは大切な人の死に直面し、とても辛い時間の中にいます。そんなとき、そっと心を癒してくれる動物がいてくれることで、少しでも痛みを緩和できたらと考えています。」

現在、メリッサさんのもとで訓練中のカーミットはすでに現場での実績もあるため、満1歳を迎えると州から正式にアメリカ初のお葬式向けセラピードッグとして認定されるとのこと。

カーミットのお誕生日までは残り数週間。おめでたいニュースが届くまであともう少しですね。