押し間違った、エレベーターの行き先をキャンセルする方法があります。各メーカーに聞いてみると、ある共通点が見えてきました。

主要メーカーのキャンセル方法一覧

 エレベーターに乗って間違った階数ボタンを押してしまっても、それをキャンセルする方法があります。いくつかのメーカーに聞いたところ、おもなキャンセルの方法は以下のとおりでした。

押し間違えたボタンはキャンセルできることも(写真はイメージ。出典:写真AC)。

東芝エレベータ
・キャンセルしたいボタンを2度押し

●日本オーチス・エレベータ
・キャンセルしたいボタンを2度押し
・扉が開いているときに、キャンセルしたいボタンを2度押し

●日立ビルシステム
・キャンセルしたいボタンを2度押しまたは長押し

三菱電機
・キャンセルしたいボタンを2度押し

 なお、ここに記載していないキャンセル方法が採用されている場合もあるほか、同じメーカーでも機種や年式によっては異なるものもあります。また、安全上あるいはいたずら防止などの観点から、方法を非公開にしているメーカーも存在します。

 ここまでをまとめると、以下の順番で試してみれば、どこかの段階でキャンセルできるかもしれません。

・2度押し
・長押し
・扉が開いたときに2度押し

 しかしなぜ、ボタンを「2度押し」が多いのでしょうか。

キャンセル「2度押し」にはワケがある

 東芝エレベーターでは2000年代前半から、日立ビルシステムや三菱電機ではおよそ10年前から、エレベーターの行き先キャンセル機能を製品に標準装備しているといい、異なる方法のものは、それ以前に製造された機種に多いようです。あるメーカーによると、ボタンの「2度押し」は業界で統一的に決めた方法だといいます。

 その方法を定めたのが、昇降機メーカーの業界団体である日本エレベーター協会です。2006(平成18)年に、ボタンの「2度押し」を行き先キャンセルの方法とした「利用者による登録呼び取消し方法の標準」を作成しました。製造会社ごとにキャンセル方法が異なると、利用者に混乱を与えることから定めたのだとか。しかしこれはあくまで協会の標準であり、新造機でも、キャンセル機能を持たないものもあるそうです。

 キャンセル機能が備わってきた背景について、日本エレベーター協会は「エレベーターがマイコン制御に移行していき、様々な情報を利用できるようになりました。このことから、運行効率向上のためのいち機能として、さらに利用者の利便性を考慮して、キャンセル機能が実用化されてきたものと思われます」と話します。

 そして現在、エレベーターはさらに進化しています。かご内の乗客数を自動検知して階数ボタンの数を比較し、不必要に階数ボタンが押されている場合はいたずらと判断して呼び出しをキャンセルする機能や、利用者がいない場合に、1階など利用者が多い階へ自動的に戻る機能を備えたものなどがあります。

【写真】世界最速のエレベーターがあるのは…?

高さ632mの超高層ビル「上海中心大厦」(中国)に設置されたエレベーターは、地下2階から地上119階まで約53秒で到達する。日本の三菱電機製(写真出典:三菱電機)。