日本大学カルザスホールで開かれたシンポジウム「中国・韓国・北朝鮮・日本とアメリカ」(撮影:佐谷恭)

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東アジアと米国の関係を多角的に議論するシンポジウム「中国・韓国・北朝鮮・日本とアメリカ」(日本大学主催)が1日、東京都千代田区の日本大学カルザスホールで開かれた。

 同シンポジウムは今年4月に開設された同大学の大学院総合科学研究科の開設記念事業の一環で、日大の教授のほか、米スタンフォード大学フーバー研究所のジョン・レイジアン所長や中国大使館の呉江浩政治部参事官、日本の国会議員らが出席。約300人の聴衆を集め、基調講演とパネルディスカッション、質疑応答を行った。

 基調講演で、北朝鮮の核問題について自民党の古賀誠衆院議員は「いまだに冷戦構造を引きずっている。多国的な関係から解決すべき」と話し、呉参事官も「冷戦の悪い影響が消化されていない。中国は最も影響力があると言われるが限界もある」と6カ国協議の重要性を指摘した。

 靖国神社への参拝問題について、古賀氏は「いろいろな意見があるが、靖国の森に眠る方々の思いをしっかりと汲み取ることが大事。彼らが望む一番の願いは平和」と述べ、呉参事官は「靖国の議論は各国が後ろ向きになっている。被害を受けた方が安らかに眠れるよう、現代のわれわれが善処しなければならない」と語った。

 歴史認識については、呉参事官が講演で「戦争で中国・アジアと日本国民が受けた被害の責任を誰かが取らなければならない」と述べたことに対し、民主党の西村真悟衆議院議員はパネルディスカッションで「自国民を殺したことを日本のせいにした中国共産党こそ、責任を取るべきと考える」と語った。

 また、フーバー研究所シニアフェローのラモン・マイヤーズ氏は「日本と中国の冷え込んだ関係は悲劇。悪いことだから歴史から消したいというのは自然。区切りをつけ、率直に向き合うことが必要」と話した。【了】