子どもの頃、友達とお菓子持ち寄りで遊ぶ際、誰かが必ず持ってきた東ハト「ハーベスト」。



自宅でのおやつに、また、友達の家に行った際に、コレが出てくると「やった!」と思ったものだ。

そんな「ハーベスト」には、昔から熱烈なファンが多い。

11月末にテレビ番組『お菓子総選挙2016』が放送された後には、Twitter上で「東ハトのハーベストが参戦していないお菓子総選挙など認めない」「ハーベストが参戦していないなんて」といった声が多数あがっていたほどだ。


パイ生地と同じ原理で作られていた「ハーベスト」


ところで、一部熱烈なファンのいる「ハーベスト」は、いつ、どんなきっかけで作られたのか。東ハトの広報担当者に聞いた。

「ハーベストの発売は、1978年(昭和53年)。他にはない、薄くて食感の良いビスケットを目指して開発されました」
「ハーベスト」という名前の由来については、「ビスケットの主原料である小麦の『収穫』を意味する『ハーベスト』からついたもの」という。

一番大きな特徴は、独特のパリパリサクッとした食感だが、どのように作られるのか。
「何層にも重ねた生地を薄く延ばすことで、独特の軽快な食感が生まれます。パイ生地の原理と同様ですね」
この生地の配合は時代とともに少しずつ変わってきているものの、基本的な製法は変わっていないそう。

現在、通年販売の定番がセサミとバタートーストなどの2、3種類。期間限定のものが年に6、7種類発売されており、期間限定では毎年登場する抹茶、スイートポテトなどが人気商品だという。


つい食べすぎてしまう「個包装」の理由


ところで、昔から「ハーベスト」というと、数枚ずつの個包装であるために、手を出しやすく、それがかえって、つい次へ、また次へと食べてしまう危険性をはらんでいる気がする。
「うっかり食べ過ぎた」「気づいたら、全部一人で食べちゃっていた(泣)」なんて経験をしたことがある人も少なくないのではないか。
なぜあの「小袋」タイプにしたのだろうか。
「発売当初は、実は筒型のパッケージに直接入れていました。しかし、薄いハーベストは割れてしまうことが多く、割れを防ぐために、現在の包装形態にたどりついたそうです。そのため、開発・発売から、包装形態などの試行錯誤もあり、実際に売れるようになるまでは数年かかっています」
実は「個包装」は「一気に食べつくさないため」ではなく「ちょいちょいつまむことで、いくらでも食べられるため」でもなく、あの薄くパリパリの層が割れないよう守るためのものだったのだ。

「ハーベスト」が長年にわたって愛され続ける理由について東ハトは「匠の技から生まれる薄さや軽快な食感など、類似品にはマネのできない強みがあるからだと思います」と分析する。

あのパリパリ食感と、香ばしさとコクは、思い出すだけで、音や香りがよみがえってきて、五感が刺激されてしまう魔力がある気がしませんか。
(田幸和歌子)