失速、停滞からの復活…YouTuberアバンティーズの明日はどっちだ!? そらちぃ×エイジ インタビュー
「高みを目指したい」(そらちぃ)、「もっともっと数字を伸ばしていきたい」(エイジ)。この1年の間に、4人組YouTuberアバンティーズの中心のふたりに立て続けに取材した際、意気軒昂とさらなる飛躍を誓っていた。そして今回、このふたりが顔を揃えてのインタビューが実現し、改めてこの2016年について振り返ってもらったが、前の取材時の力強さはどこへやら、口をついて出るのは反省の弁ばかり…。年越しを前に緊急事態発生…? アバンティーズはどこへ向かうのか?

撮影/平岩 享 ヘアメイク/小田昌弘 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



波に乗り切れず「苦しんでないことが苦しかった」1年



――そらちぃさんには2016年の1月、エイジさんには6月の終わりにお話を伺いました。早いもので1年の終わりが近づいてますが…。

エイジ もう年末? 早くね?(笑)
そらちぃ 序盤は結構、それまでの勢いそのままに、いい感じでいけてたんだけどね。中盤でちょっと間延びしたというか、失速して…。なかなか思うように動画も上げられず。振り返ってみると、苦しんだ年だったかな。
エイジ 苦しんでないことが苦しかったね。もっともっと苦しんで、頑張って、アップしていかなくちゃいけなかったけど、そこでやりきれなかった。甘さがあったよね。
そらちぃ 頑張りきれなかった…。

――「こんな充実した1年になりました! もうすぐ楽しいクリスマスが…」みたいな話の展開を予想してましたが、いきなりヘビーな反省会に…。

エイジ 決して頑張らなかったわけじゃないし、きちんとやれていたいい時期もあったんですよ。だからこそ、もったいなかったなって。YouTube動画の製作って、視聴者とのマッチングも含めて、時期によって“波”があるんですよね。夏休みとかの長期休暇の時期もそうなんですけど。そういう時期にことごとく、波に乗り切れずに「あぁ、行っちゃった…」って…。
そらちぃ その繰り返しが何度かね。「次は頑張ろう!」ってなりつつも、なかなか…。


▲そらちぃ


▲エイジ


エイジ 僕で言うと、取材していただいたのが夏の前で、ちょうどアメリカから帰ってきたばかりの頃ですよね。あっちでムチャクチャ刺激をもらったけど、それが焦りにもなって、うまく形にできないまま、夏を迎えて…。そうしたら、関西系のYouTuberたちの台頭もあったりしてさらに焦ってしまったり。
そらちぃ そういう悪い流れを断ち切れたのは、実はごく最近なんです。こないだから、僕らの動画にオープニング映像がついたんですけど。
エイジ ホントに最近だな、それ(笑)。うん、でも実際、オープニング映像の存在はすごく大きかった。それもね、前からずっと「欲しいね」って話はしてたんですよ。それがやっと…。
そらちぃ まあ、僕のせいなんですけど(苦笑)。それができて、気持ち的に切り替わったなって思うし、作品もコンスタントにアップしてるし、「なんでそこまで?」って不思議だけど、数字にも実際に表れてるんだよね。そういう意味では、ようやく元の水準まで持ち直しました。
エイジ 僕も最近、焦りを感じずに安心してできてますね。(オープニング映像が)形になったというのが、そんなに大きかったのか…? と思うけど(笑)。ひとつ“アバンティーズ”ってものがハッキリしたなとは思います。




今年最後の大勝負! クリスマス配信企画の内容は…



――チームとしての方向性や、作品の作り方などで、変化はありましたか?

エイジ 向き合い方かな。それも最近、持ち直しての話なんですけど、これまでどこかで「こなしてる」感があったけど、最近は自分たちも楽しみつつ、見る人に求められるような作品を出していけているのかなって。ここまでやってきて、どこかで「体張っときゃなんとかなるだろ」って気持ちもあったけど(笑)。
そらちぃ ワサビ食っときゃいいだろっ! 的なね(笑)。
エイジ そういう過激な刺激ってだけでなく、楽しめてる。作り方もだいぶ変わってきて、以前は9割がた、僕が編集してたけど、いまは企画者がカット割りとかも含めて、すべてを作りこむようになった。

――つまり、企画した人間がクリエイターとして、キッチリと責任をもって細部まで作りこむように?

エイジ そこで個性も出てくるし。
そらちぃ そうやっていく中で、考えるネタの種類も、以前よりも個性が反映されるようになった。たとえばリクヲは実験系、ツリメは謎のほんわか系(笑)。僕とエイジはやっぱり、ネタ系かドッキリが多いかな(笑)。
エイジ 数もキッチリ揃えて、週に2本はそれぞれネタを持ってくるって決めてるしね。




――この1年で、最も大きな反響を生んだ作品は?

エイジ 今年は4人みんなでワーッと作ったって感じの作品があんまりないんですよね。去年はそれこそ、みんなでドラマ作ったりしたけど。そういう意味で、まだ撮影してないんですが(※取材が行われたのは11月下旬)、いまクリスマスの配信に向けて準備している作品があって。最近、「クリスマス公開で」っていろんなところでオープンにしてるんですけど…。彼(=そらちぃ)が脚本を書いてるんだけど…大丈夫?
そらちぃ だ、大丈夫です! もうプロットはできていて、それをこれから脚本化し、キャスティングと撮影を…という準備に入ってます。

――それこそ過去には『クリスマスは誰に微笑む』という名作を自身の監督・脚本・出演で作り上げましたが、同じドラマ仕立てでクリスマスにアップするとなると、前作を超える作品を…。



そらちぃ プレッシャーはまあ、感じてます(苦笑)。

――以前の取材時も、こういうドラマ作品を作るのをまたやりたいとおっしゃってましたね。どんな作品になるんでしょうか?

そらちぃ 恋愛ものです。おそらく3話分くらいの作品になると思います。今年の10月、持ち直してきた時期に、一度、『本当にありそうな怖い話』というのを作ったら、結構反響が大きかったんです。それがあったので、今回はもう少し長めにと思って企画を始めました。






“いま”が分岐点! 春までに勝負を懸けたい



――4人それぞれがクリエイターとして活躍するのがアバンティーズですが、その中でもアバンティーズらしさや色って、どんなところだと思いますか?

そらちぃ 基本はネタ動画で、ときどき、こういうドラマを…ってのがあるのかな?
エイジ まさにその部分をいま、確立しようと模索してるという感じですよね。いまは“YouTuber”という括りの中でネタをやっているような感じなので、そこを一歩抜けて、“アバンティーズ”を確立したい。

――反省点が多いと言いながらも、手応えや進むべき方向性をつかんだ1年だったようですね。おふたりとも、このまま“プロ”として活動していく覚悟のようなものは?

エイジ まだ、覚悟というほどの覚悟は…。というか、それもまさに、いま進めているクリスマスの動画だったり、いまの時期に何ができるか次第で「このままやって行けるんじゃないかな」というボンヤリとした手応えか何かがつかめるんじゃないか…とも思ってて。僕、つい最近、二十歳になったんですよ。

――これだけやってきて、まだ二十歳? というのが正直な感想です…。

エイジ だから、反省も多かったけど、10代のうちにいろいろ失敗できてよかったなって思うんですよ。
そらちぃ 僕も、本当にいまの時期が分岐点だぞって思ってて。僕は大学に通いつつの活動で来春から3年生なので、もし就職する気なら、いろいろ考え始めなくちゃいけなくなる。いま、正直な気持ちを言えば、今年1年いろいろあった上で、それでもYouTuberとしてやっていけそうな感触を少しつかんで、いま土台に足を掛けている感じ。だから春までに勝負を懸けたい!




――「2017年の活動、目標は?」と聞こうとも思ってましたが、むしろ“いま”次第の来年なんですね。

エイジ ホント、その通りです。自分なりに見えてきたものもあって、それをしっかり形にしていきたいです。

――YouTubeという媒体(メディア)に対しては、まだまだ可能性は感じてますか?

エイジ それはまだまだ意外とイケるなって。ここでやれることはまだあるぞって思います。
そらちぃ 僕も脚本とか書きつつも、まだまだ素人なんですよ。それで、もっと勉強したくて、YouTubeを見て「こういうのやってみたら…」って勉強させてもらってる。それはまだ、ここに自分たちが面白いと思うものがあるってことだなと思います。
エイジ そもそも、どうしなくちゃいけないというルールがないのがYouTubeなので、そういう意味で可能性ってまだまだ広げられると思ってる。