「ピクニックに行かない?」と友人に声を掛けるのはちょっと気恥ずかしい感じがする。「ピクニック」というと幼児が家族と行くようなイメージがあるからだ。しかし、最近、中高生の間では「おしゃピク」という新しいピクニックの楽しみ方も流行しているそうだから、決して時代遅れというわけではない。
そんなピクニックだが、そもそもどのような定義があるのだろうか。キャンプとの違いも気になるところ。一般社団法人日本ピクニックパーティー協会の会長である高橋ひでつうさんに聞いてみた。

ピクニックとはそもそも何か


ピクニックといえば、晴れた日に近所の公園へ、ピクニックバスケットの中におにぎりやサンドイッチなどの軽食を入れて持って行き、レジャーシートに座って遠足気分で楽しむイメージがある。そこには特にルールのようなものはないように思えるが、そもそも「ピクニック」にはどのような定義があるのだろうか。ひでつうさんに聞いてみた。

「ピクニックに明確な定義はないですが、『気軽に』『身軽に』できるというのが定義かもしれません。公園、山、海でもどこでもOKで、キャンプのようにテントを張って泊まるのではなく、日帰りで道具も要らず気軽にできるもの。今はとくに『おしゃピク』という女の子同士だけでおしゃれに楽しむピクニックがブームです。それと比べて、キャンプは、いざ女の子同士で行くとなると気合が必要になるでしょう」

女子中高生の間で流行っている「おしゃピク」は、まさにピクニックの気軽さと身軽さを象徴するものといえそうだ。他にも、ピクニックには次のような定義も考えられるという。

「ピクニックは『都市型』です。キャンプのように、そこまで遠征することはほとんどないでしょう。都市には、車を持っていなくても行けるいい公園も多いですし。おしゃピクのように、Instagramで『リア充』をこぞって披露・共有する文化にも、ピクニックは最適です。おしゃれなラグをひこう、可愛いクッションを使ってみよう、スパークリングワインやプラスチックのコップを持っていこうなど、日常を非日常にもっていく、家でやっていることを外に持ち込むといったことが手軽にできるのがピクニックだと思います」

ピクニックは、平凡な日常を、オシャレで楽しい非日常へと簡単に持ち込むことのできる便利なイベント。キャンプはその点、遠征しテントを張り、アウトドア調理も必要になってくるため、どうしても敷居が高くなる。もちろんその分、取り組む醍醐味と楽しさはあるだろうが、それには気合や時間、費用などがかかってきそうだ。

ピクニックとキャンプの違いは、性別・年代・所得に関係があった?


そんなピクニックとキャンプは、楽しんでいる層を比べると次のような違いがあるという。

「ピクニックは車を持っていない若い女性が、女子会や恋人同士などで行っているようです。一方キャンプは、キャンピングカーにアウトドア用品などの準備が必要。ピクニックは、天気がいいから行こうなどの、思い立ったら行くことができますし、お金もかかりません。また、最近は、おしゃれなデリやパンなどの見栄えが良いものも手軽に買えるため、インスタで披露したくなるような“見た目の楽しさ”がお金をかけずに出せます」

では、キャンプはどのような人たちに楽しまれているのだろうか。

「キャンプは、40代の男性の間で流行っています。特に可処分所得の多い、共働きで子を持たないDINKsの人たちに人気です。彼らは、テントなどの道具や、アウトドアファッションなどのブランドものにお金をかけ、ある意味『自慢大会』を楽しんでいるところもあるようです」

ピクニックとキャンプの違いには、このように性別や年代、所得にも関係があることが分かった。若い女性たちが気軽に、オシャレに出かけられるのがピクニック。40代のプチおじさんらが金持ちさを競い合うのがキャンプ。現代では、どちらも「リア充」をアピールできる楽しいイベントとなっているようである。
(石原亜香利)

取材協力


高橋ひでつうさん
ピクニック&ホームパーティー研究家
一般社団法人日本ピクニックパーティー協会会長、一般社団法人日本ホームパーティー協会会長。『お外にホームパーティーを持ち出そう!それがピクニック!』を合言葉にピクニックに関わる執筆、講演やTV・雑誌、Webなどのメディア出演、企業との商品開発などを通してピクニックを普及させるために活動中。
一般社団法人日本ピクニックパーティー協会ホームページ:http://ppaj.org/
高橋ひでつうInstagram:hidetwo_hpajapan