杓子定規だったり融通が効かなかったら「役所仕事」なんて揶揄されたりもしますが、決してそうとも言い切れないんじゃないの? ……と思ったのは、この1台を目にしたから。


何に見えます? ……そうですよね、「痛車」に見えますよね。でもこれ、11月10日に誕生した長野県飯田市の公用車でもあるんです。その名は「ナミキちゃん号」

「ナミキちゃん号」導入のきっかけは痛タク事業


混乱してきました。なぜ、こんなルックスの公用車が生まれたのか? 飯田市役所に直接伺ってみると、その布石として11月3日に開催されたサブカル・グルメの大祭典「飯田丘のまちフェスティバル」があるようです。



「ナミキちゃん号のきっかけは、痛タク事業に取り組んだことがきっかけです! 飯田丘のまちフェスティバル(以下、丘フェス)の開催前に、市内に痛タクを走らせたんです。その際、飯田市で営業する(有)サーチャー看板屋の澤口様と『当日、カーラッピングのデモンストレーションをすると楽しそう!』という話で盛り上がり、そこから公用車を澤口様にラッピングしていただき、結果、ご寄附していただいたという経過になっております」(担当者)



ちなみに「ナミキちゃん」とは、丘フェスのマスコットキャラクターだそう。趣味が油絵とヴァイオリンとコスプレという16歳の女子高生で、サブカル・グルメの祭典にふさわしいパーソナリティです。
「痛タクは、中心市街地にある6社のタクシー会社が取り組んでおります。各タクシー会社単発で痛タクに取り組むケースはありましたが、タクシー協会が連携して同じキャラクターをラッピングしているのは全国初です」(担当者)


各社の痛タクシーそれぞれに衣装が異なるナミキちゃんがデザインされていますが、公用車「ナミキちゃん号」には痛タクにデザインされている6コスチューム全てがデザインされているそう。また、ナミキちゃんだけでなく市内にあるキャラクター全てが描かれているのも特徴の一つです。

公用車が「痛車」と呼ばれていることは知ってるのか?


なるほど、サブカルだけに「痛車」は打ってつけと言えるかもしれない。でも、飯田市役所は「ナミキちゃん号」が痛車呼ばわりされていることを知っているんでしょうか……?



「痛公用車と呼ばれていることは知っています。狙い通りです(笑)」(担当者)

ちなみに丘フェスは、日本がクールジャパン政策として積極的に取り組む以前に誕生した今年で10週年を迎えるイベント。
「サブカル等に関心のある各種市民団体、まちづくり団体、商店街、商工会議所、金融機関、再開発管理組合、行政等、多様な主体が連携し実施運営をしており、コアなファンでも1日楽しめるイベントです。ワクワクすること、面白そうなことを考えたからこそ、今回のようなナミキちゃん号誕生につながったと思います」(担当者)

公用車が「痛車」と呼ばれているのは、覚悟の上だった! というか、痛タク事業が布石になっているのだから、痛公用車になるのは当然です。

「ナミキちゃん号」に駆け寄る子どもたちの姿も


こうして誕生した「ナミキちゃん号」は、本庁から一日2回、市内各自治振興センターに文書などを運搬する車両としてほぼ毎日市内を走っている模様。俗に「逓送車(ていそうしゃ)」と呼ばれる公用車として活用されています。
「『痛車を公用車に導入する取り組みは非常に面白い』など、皆様からはご好評をいただいております。市内で見かける親子連れが写真を撮影する姿も見られます。自治振興センターの近くにある保育園の子どもたちも走って見に来てくれたり、人気のナミキちゃん号のようです!」(担当者)

お子さんからコアなファンまで、ハートをガッチリ掴んでいる痛公用車「ナミキちゃん号」。これからもきらびやかなルックスのまま、ほぼ毎日市内を走り回ります。
(寺西ジャジューカ)