世界初となる自動運転タクシーの公道試験が開始、課題は乗客の車酔い?

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熾烈を極めるテクノロジーの世界では、1番でなければ最下位と同じだ。そう考えると、テクノロジー関連の会社や自動車メーカー各社が自動運転車を最初にリリースしようと競い合っているのも当然と言える。

先日、Uberとボルボは自動運転車の開発プロジェクトに両社合わせて総額3億ドル(約300億円)を拠出することで合意し、今月中にペンシルベニア州ピッツバーグでボルボ車を使った試験的な配車サービスを開始すると発表した。しかし、驚いたことに創設3年目のnuTonomyという企業が、すでにシンガポールで世界初となる自動運転タクシーの公道走行試験を行い、Uberに先制攻撃をしかけたのだ。

米国マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするnuTonomyは、4月からシンガポールで自動運転車の非公開実験を行っていた。そして今月25日、市内のビジネスエリアであるワンノース地区の住人から選ばれた人々に、無料で自動運転タクシーのサービスを提供する公開実験が開始された。乗客は専用アプリで同社の自動運転タクシーを呼び出し、自動運転用にカスタムされた電気自動車のルノー「ゾエ」または三菱「i-MiEV」に乗ることができる。

このタクシーは自動運転だが、nuTonomyのエンジニアが同乗してオペレーションの動作確認を行い、万一の場合は代わりに運転するという。同社が何台の自動運転タクシーを稼働させるかは明らかにされていないが、2018年を目標とした完全自動運転車サービス開始に向け、今回の実験で同社は大きな一歩を踏み出した。

『Wall Street tJournal』のジェイク・ワッツ氏はnuTonomyの自動運転タクシーに試乗しており、問題なく乗ることができたものの、人が運転するタクシーは当分の間なくなることはないだろうと述べている。同氏によれば、i-MiEVはテスラ車のような洗練に欠ける上、自動運転機能が慎重過ぎるという。短い試乗でも、自動運転タクシーは無理な横断をする歩行者や停車中のクルマなどをうまく避けていたが、あまりにも頻繁に一時停止するため、乗客は車酔いしてしまう可能性があると同氏は書いている。

nuTonomyのカール・アイアグネマCEOは、米国版Autoblogが10月6日にデトロイトで開催する「UPSHIFT 2016」の会場で、輸送技術について講演を行う予定だ。

By Joel Patel

翻訳:日本映像翻訳アカデミー