記者会見場で、背中の痛みについて答えるエナン・アルデンヌ

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 クレーコート(赤土)を使用する全仏は、いつも大波乱から幕を開ける。昨年、全仏チャンピオンとなったミスキナ(ロシア)が初日に、35歳のアガシ(アメリカ)が2日目に敗退し、4日目の今日は、第2シードのロディック(アメリカ)がローランギャロスから姿を消した。

 ただし本当の大本命たちは、揺ぎなく3回戦へ歩を進めた。フェデラー、ナダル、サフィン、コリア、モレスモー、シャラポワ……。

 「前よりも強くなって帰ってきた」と評判のエナン・アルデンヌ(ベルギー)もそのひとり。ウイルス性疾患やひざの怪我などで1年近く体の不調に悩まされてきた前世界ナンバーワンプレーヤーは、4月上旬クレーシーズンでツアー完全復帰を果たすと、すぐに3タイトルを獲得。こうして一気にローランギャロス優勝大本命の座へと駆け上がった。

「自分のゲーム内容にはそれほど集中していない。勝つことのみに集中する。」

 力強い宣言通りに2試合を確実に勝ち取ったエナンの、唯一の心配は背中の痛み。2回戦、第2セット後半に数回のダブルフォルトや力ないサービスが見られたが、実は2ヶ月前から続く神経痛のせいだったようだ。立ったり動いたりしている時よりも、座っている時のほうが痛みは大きいそうだが、当のエナン自身はそれほどこの状況を重くは見ていない。

「この痛みについては心配していない。自分の痛みについてはよく理解してる。時に激しく痛むこともあるけれど、今に始まったことじゃない。グランドスラムは肉体的に長くて辛い大会だけど、中1日の休みがあるから大丈夫だと思う。」

 3回戦の対戦相手は、全仏直前のストラスブール大会(クレー)でタイトルを獲得したばかりで勢いに乗るアナベル・メディナ ガリゲス(スペイン)。「厳しい試合になるわね」と引き締まった表情のエナンは、人一倍強いメンタルで肉体の不調を乗り越えるつもりだ。