プレミアでの経験を生かした岡崎の一撃「焦っても点は取れない。それを理解できてきた」

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 ゴールラッシュの幕開けは、岡崎慎司(レスター/イングランド)が放った衝撃のゴールだった。

 24日に行われた2018FIFAワールドカップロシア アジア2次予選のアフガニスタン戦で、5−0で大勝を収めた日本代表。この試合では、イングランド・プレミアリーグで優勝争いの渦中にあるレスター所属の岡崎が、日本に“凱旋”してどんなプレーを見せるのかが見どころの一つだった。

 試合は立ち上がりから、GK東口順昭を除く日本の全選手が高い位置を取って攻め込むも、人数を掛けて守る相手を崩し切れないという構図が続く。

 そして迎えた前半終了間際の43分、疲労が溜まってきた相手守備陣のスキを岡崎が狙っていた。相手DFを背負いながら清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)からの縦パスを受けると、ターンした直後に右足で切り返して振り向いた相手DFを股抜きで翻弄し、そのまま左へ流れて利き足とは逆の左足でシュート。「相手DFが来ていたので、あそこしかなかった。最初からイメージしていたわけではないけど、股抜きをした時にGKが(シュートコースに)いなかったのが見えた」という冷静な一撃には、とっさの判断力と足下の高い技術が凝縮されていた。

 ゴールシーン以外にも、随所でプレミアリーグで得た経験を披露した。アジアレベルで常に課題とされてきた“引いた相手の崩し方”について、岡崎は「焦っても点は取れないのがサッカーでは基本。それをだいぶ理解できてきた」と語る。

「引いている相手に対して、前線に張っているだけでは点は取れない。それはマンC(マンチェスター・C)とかアーセナルを見ても同じ。(マンCのセルヒオ)アグエロも張りすぎていないし、参考になるシーンはたくさんあった。このチームには流動性が必要だと思う。僕も(レスターで)それをやっているから、代表でも出せたらと思ってやっていた」

 その言葉どおり、クロスやシュートを相手DFに弾かれる場面が続いても、焦れた様子を見せることなく、サイドや中盤へと動き回りながら攻撃の組み立てに加わった。そして、出場した72分間でわずか一度しか訪れなかったシュートチャンスを、きっちりとゴールに結びつけた。

 29日に行われるシリア代表戦に出番があれば、それが記念すべき国際Aマッチ100試合出場の節目となる。「あと2点取れば50ゴールになるので、100試合目で達成したい」。100試合出場は日本代表歴代5位、50ゴールは歴代3位という偉大な記録だ。前線でさすがの存在感を見せた岡崎。世界基準で躍動するストライカーの勢いは、まだまだ止まらない。

文=平柳麻衣