「Shoubu(菖蒲)」全景

国立研究開発法人理化学研究所(理研)は、株式会社ExaScalerおよび株式会社PEZY Computingと共同で一部設置を完了させたスーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)」の初期計測実験で計測された性能数値の一つである“7.03ギガフロップス/ワット(GFLOPS/W)”が、8月1日に発表された最新のスーパーコンピュータランキングの消費電力性能部門である「Green500」において、世界第1位を獲得したと発表した。

Shoubuは、ExaScalerの最新の液浸冷却システム「ExaScaler-1.4」を用いた5台の液浸槽で構成される、理論演算性能が2ペタフロップス(PetaFLOPS)級の液浸冷却スーパーコンピュータ。理研とExaScaler、PEZY Computingの3者が、メニーコアプロセッサと液浸冷却システムを用いた今後のスーパーコンピューティング環境に向けての知見を深める目的で4月30日付けで共同研究契約を締結し、設置作業を行っている。

その一部は6月末に試験稼働を開始したが、その際の部分的な構成確認実験時に計測された演算性能値(Rmax)の412.7テラフロップス(TeraFLOPS)が、7月13日に発表された最新のスーパーコンピュータランキングの絶対性能部門「Top500」において世界第160位(国内20位)と認定された。

さらに、初回の計測実験において512個のPEZY Computingのメニーコアプロセッサを使って716MHz駆動で計測された1W当たりの消費電力性能値である7.032 GFLOPS/Wが、8月1日に発表された最新のスーパーコンピュータランキングの消費電力性能部門である「Green500」で世界第1位と認定された。今回の初回の計測実験で計測された消費電力性能値は、世界で初めて7 GFLOPS/Wを超えたもので、前回の「Green500」の世界第1位の数値(5.271 GFLOPS/W)を33.4%上回る高い数値となった。

3者は、Shoubu全系の設置完了に向けて作業を進めながら、2回目以降の計測実験では、さらに高い消費電力性能値と演算性能値を計測出来るように最適化作業を推し進めていく計画で、6か月後を目途にShoubuの1回目の仕様更新も予定している。


「ExaScaler-1.4」を構成する高密度演算ボード群「Brick」


「ExaScaler-1.4」に使用されているメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」

発表資料
URL:http://www.riken.jp/pr/topics/2015/20150804_1/
2015/08/05