中国メディアの捜狐は4月29日、中国の自動車市場において、日本の自動車メーカーは欧米のメーカーに比べて地理的・文化的に有利な立場にあるとしつつも、「なぜ日系メーカーは販売面で苦境に立たされているのか」と論じる記事を掲載した。(イメージ写真提供:(C)liorpt/123RF.COM)

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 中国メディアの捜狐は4月29日、中国の自動車市場において、日本の自動車メーカーは欧米のメーカーに比べて地理的・文化的に有利な立場にあるとしつつも、「なぜ日系メーカーは販売面で苦境に立たされているのか」と論じる記事を掲載した。

 記事は、トヨタ自動車中国に初めて自動車を輸出してからすでに50年が経過していることを指摘し、「つまり日本車は中国市場への進出から50年の歴史を持つことを意味する」と指摘。50年間における中国自動車市場の変化は極めて大きく、日系車は実用性の高さと燃費の良さという強みを活かし、中国市場で3分の1ものシェアを獲得した時期もあったと紹介した。

 続けて、近年の中国市場において日系車が苦戦している背景には複数の理由があるとし、1つ目の理由として反日感情の高まりを挙げた。これまでリコール問題などを背景に日系車の販売台数が落ち込んだことはあったものの、「もっとも大きな理由は日中の領土を巡る対立だ」とし、政治が経済に影響を及ぼした一例であると伝えた。

 さらに、中国のインターネット上では今なお日系車を排斥すべきと呼びかける声があると伝えたほか、ネット上だけでなく現実においても中国人消費者は日系車の購入をためらうようになってしまったと論じた。

 また記事は、2つ目の理由として「中国自主ブランドメーカーの台頭」を挙げ、反日感情の高まりよりもむしろ大きな要因ではないかと推測。長城汽車が生産するSUVである「哈弗」の販売が好調であることや、吉利汽車、比亜迪などのメーカーが技術力を高めていることを挙げ、中国自主ブランド車の成長に期待が高まっていると論じた。

 続けて、3つ目の理由として、日系車のコストパフォーマンスの高さや燃費の良さといった強みが「競合他社の追随によって相対的に薄れてきている」と主張し、エコ意識の世界的な高まりを受け、各国のメーカーが燃費効率の向上に取り組んでいると指摘。「燃費性能において各メーカーの差は小さくなっており、日系車の燃費に関する“神話”はもはや過去のものになりつつある」と主張した。

 さらに記事は4つ目の理由として「新モデル投入の遅さ」を挙げ、他国のメーカーに比べ、日系メーカー全般が「新モデルを投入するタイミングが遅い」と指摘。ドイツ系のメーカーが世界に先駆けて中国市場に新車を投入するケースがあることに比べ、「鮮明な対比をなしている」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)liorpt/123RF.COM)