たくさんのヘッズの期待を背負ってWEB放映された『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』。はじまってみたらまさかの紙芝居。アイエエエエ!? だが中毒者続出中。

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『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』。
多くのヘッズ(注・ニンジャスレイヤーファン)たち、期待の第一話。
制作は『キルラキル』でお馴染みのTRIGGER。
ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン 第1話「ボーン・イン・レッド・ブラック」(ニコニコ動画)

OPのアニメーションは、まさに期待通り。
憂鬱な顔のニンジャスレイヤー。一糸惑わぬ動きのクローンヤクザ。女学生のニンジャのヤモト・コキ=サン、カワイイヤッター!
『キルラキル』や『グレンラガン』のノウハウが生きています。

ところが。
一話本編が始まった途端全く表現が変わります。
背景一枚の前で、全く身体を動かさないニンジャスレイヤーと敵が、Flashアニメのように画面の中でぺちぺちぶつかっているだけではないか。
これは、紙人形芝居か?
ニンジャスレイヤーは、格好はそのままにスライドしながら、ゲームのようにスリケンを飛ばして車やミサイルを撃ち落とし、目に見えない(動いてないしね)カラテで首チョンパ。
スシを食うシーンなど、普通のアニメーションパートもちゃんとあるのに、これはどうしたことか。

ニンジャが華麗にジツ(注・ニンジャの特殊能力のこと)を決めるアクションを期待していた層からは、怒号のコメントが飛び交いました。
「ニンジャ? ニンジャナンデ!?」
「アイエエエエエ!?」
「ザッケンナコラー!!」
「ハイクを詠め!」
(注・全部原作のセリフです)
満足度アンケートも、「全く満足していない」という人ばかり。

Twitterを見ていると、確かに「ザッケンナコラー!」が飛び交っていたのは間違いない。
ところがどうもおかしい。この「アニメイシヨン」が、『ニンジャスレイヤー』であることを誰も疑っていない。

通常であれば、イメージとかけ離れたアニメ化・実写化を見たら「これは○○ではない!」と文句の一つも出るものでしょう。そういう意見がほとんどない。
やっぱりこれは『ニンジャスレイヤー』なのでは?
次の日には「すっかり慣れた」「普通にやるよりこっちのほうが面白い」「ワザマエ!」との言葉が飛び交っていました。

『ニンジャスレイヤー』の成り立ちは、普通の小説と大きく異なります。
原作はブレッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズ。日本の歴史と伝統文化を学び、ニンジャの危険を訴える二人組です。
重金属混じりの酸性雨が降るサイバーパンクな日本を舞台に、ニンジャ、ヤクザ、サラリマン(注・表記はこれであってます)が、カラテやジツで戦い、エネルギー補給をスシで行う世界で生きる、「間違った日本観」で表現した作品。

これを本兌有、杉ライカの翻訳チームがTwitterでつぶやく形で日本語小説化。
その翻訳がどうにも妙な日本語ばかり。
因縁の場所の名前が「マルノウチ・スゴイタカイビル」というのが最も象徴的でしょう。

「ガンバルゾー!」「アバーッ!」「アブハチトラズ!」
「○○めいた」「実際安い」「重点」「コワイ!」「いいね?」「アッハイ」
「キャバーン!」「ゴウランガ!」「エジャナイザ!」

使用例:「この場所から漂う、マッポーめいたアトモスフィア重点か?」
このような言葉を「忍殺語」と呼びます。

今回の『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』は『ニンジャスレイヤー』を初めて見た時の違和感をうまく再現しています。

誰も予想していなかった、紙人形芝居。
陰影を、黄緑色やマーブル模様にする、目に痛い奇妙な配色。
放送事故かと思うほどの沈黙の長さ。

この感覚、初めてTwitterで「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」が延々と流れてきた時の衝撃を思い出します。アッ、これシリアスな戦闘シーンの表現なんですよ。
かくして『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』ヘッズが次々誕生しています。
特に一話は一週間で100万再生。最新話を見るほどに、一話を見たくなる。古事記にもそう書いてある。

この紙人形スタイルは、2012年にWEBアニメーション『インフェルノコップ』でTRIGGERが行っています。
まさか『キルラキル』じゃなくてこっちにいくとは。

この『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』はWEB放送のみ。2016年には地上波でテレビシリーズ(スペシャル・エディション版)が放送決定しています。
果たしてこのまま放映されるのか、流暢に動くアニメになるのか……。

とりあえず、ぼくの大好きなヤモト・コキさんは、できるだけかわいく描いてください。
華奢で細い手脚、平坦な胸(原文まま)でありますように。

(たまごまご)