月間約350万アクセスを誇る著者のブログがもとに。お弁当の写真や日記、弁当テクニックが紹介されている

写真拡大

『今日も嫌がらせ弁当』(ttkk(kaori)著/三才ブックス)が14万部を突破した。
反抗期の娘に対する小言を、弁当で文字にして伝えるという“嫌がらせ”の記録である。

ある日の弁当。
白飯の上に、海苔を切り抜いた“海苔文字”で「弁当箱だせヨ!」のメッセージ。

著者のブログ「ttkkの嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」をあわせて読むと、嫌がらせ弁当の背景がよくわかる。
「ん? んん?? お弁当箱出てないじゃないか〜〜〜〜」
「これ一番ムカつくこと。ちゃんと洗い物出せや」
「これ系、友達にかなり笑われるらしい。お昼が楽しみだ♪笑われてしまえ〜〜」

心にのこった嫌がらせをあげてみる。

・起こしてもなかなか起きない日
お日さま型のウインナー、ニワトリ型のおにぎりに「自分でオキロ!!」。

・母の日をスルーされた翌日
カーネーションのイラストとともに「随時受付中」。

・テスト前なのに勉強している様子のない日
ソーセージでできた、サングラスのタモリ。
テレフォンショッキング風に質問。「べんきょうしてる?」

そして、高校最後のお弁当。
海苔文字でできた表彰状には、嫌がらせ弁当を三年間食べ続けた忍耐を称えるメッセージ。

「蓋を開けて『チッ』と舌打ちするあなたの顔。お友達と笑いながら食べる姿。そんな想像をしながら作るお弁当は、楽しくて楽しくて」
「忙しい日も、飲み過ぎて辛い日も作り続けられたのは、普段何もしてあげられなかったあなたへのママなりの愛情」
「お弁当を通じて、いろんなことを教えてくれたあなたへの感謝の気持ち」

ひとりでは食べきれない豪華さ、という“嫌がらせ”も添えてある。

本の最後に、娘からの手紙がある。

「私はキャラ弁を望んでいたわけではありませんが、家で夜中の1時過ぎくらいまで仕事をしているのに、朝5時くらいから台所でカチャカチャお弁当を作ってくれたこと、実は感動しています」
「ママは最強最高に怖いし、変なことばっかりして笑わせてうざいけど、心の底から尊敬しています。ママのようになりたいと思っています」
「今まで私のためにやってくれたこと、すべてに感謝しています」

母親は本になって初めて読み、涙が止まらなかったそう。
「お弁当、作り続けてよかったなって、改めて思わせてくれました」(制作秘話ブログより)

同じ娘を持つ身として、ハッとさせられた言葉がある。

「『ねぇ、ママ』『今、忙しいから後にして』『ママ、あのね』『ごめん…今、疲れてるから…』聞いてあげたくても、聞いてあげられない時もある。」
「でも、忙しくても、疲れてても、自分が出来る事もある。子供たちの仕草や態度、それで心の声を感じる事が出来る。少しだけ、ほんの少しだけでも、気にかけることで感じる事が出来れば、それも会話の1つなのだと、私は思う。そうやって、自分なりの何かをし、繋がっていれば大丈夫。うん、きっと大丈夫」(2015年4月3日のブログより)
(平野友紀子)